MENU

コラム

2026.10.21

耐震等級3とは?「相当」との違いと建売住宅で確かめる3つの方法

耐震等級3は、国の住宅性能表示制度で定められた耐震性の最高等級です。建築基準法が想定する「数百年に一度程度の大地震」の1.5倍の力に対しても倒壊・崩壊しない強さを示します。

ただし、同じ「耐震等級3」という言葉でも、第三者機関の評価書があるものと、会社の自己計算による「相当」とでは、受けられる優遇も安心の根拠も変わります。この記事では、等級の意味、熊本地震の被害調査の結果、地震保険やローンの優遇に必要な書類、そして建売住宅を選ぶときに等級3を確かめる方法を、順を追ってご紹介します。

目次

  1. 耐震等級3とは|建築基準法の1.5倍の地震に耐える最高等級
  2. 熊本地震で耐震等級3の家はどうだったか
  3. 耐震等級3で受けられる優遇|地震保険・フラット35S・長期優良住宅
  4. 「耐震等級3相当」と「評価書付き」の違い
  5. 等級3の強さを左右する構造計算・接合部・地盤
  6. 建売住宅で耐震等級3を確かめる3つの方法
  7. よくある質問

1. 耐震等級3とは|建築基準法の1.5倍の地震に耐える最高等級

耐震等級は、2000年(平成12年)に始まった「住宅性能表示制度」の中で、建物の地震への強さを3段階で表したものです。制度の根拠は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で、等級1が建築基準法と同じ水準、等級3がもっとも高い水準にあたります。

基準になっているのは、「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力」です。等級1はこの力に対して倒壊・崩壊しない強さ、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない強さを持つことを示します。

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
等級 想定する地震の力 目安
等級1 数百年に一度程度の地震の力の1.0倍 建築基準法と同じ水準
等級2 同じく1.25倍 長期優良住宅で求められる水準(等級2以上)
等級3 同じく1.5倍 住宅性能表示制度の最高等級

出典:住宅性能評価・表示協会「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(国土交通省住宅局 編集協力)、国土交通省「長期優良住宅認定制度の概要」

「倒壊しにくさ」と「傷みにくさ」の2つがある

耐震等級には2つの種類があります。ひとつは上で説明した「倒壊等防止」で、大地震で建物が倒れず、命を守れるかを表します。もうひとつは「損傷防止」で、「稀に(数十年に一度程度)発生する地震」で大がかりな修繕が必要になる損傷を受けにくいかを表します。

一般に「耐震等級3」と言うときは倒壊等防止の等級を指すことがほとんどです。評価書では2つが別々の欄に書かれているので、書類を見るときは両方の等級を確かめておくと安心です。

「震度7でも大丈夫」とは書かれていない

耐震等級は「震度いくつまで耐えられるか」で決められたものではありません。制度ガイドにも震度の表記はなく、あくまで「想定する地震の力の何倍に耐えるか」という物差しです。地震の揺れ方は地盤や震源からの距離によっても変わるため、等級3は「大きな地震に対して、より余裕を持たせた設計」と受け止めるのが正確です。

2. 熊本地震で耐震等級3の家はどうだったか

耐震等級3の強さが注目されたきっかけのひとつが、2016年(平成28年)の熊本地震です。震度7の揺れが2回観測されたこの地震では、日本建築学会が被害の大きかった益城町中心部で建物の全数調査を行い、その結果を国土交通省の委員会が分析して、建てられた時期や等級ごとに被害を比べています。

対象:2000年6月以降に建てられた木造住宅(耐震等級3は住宅性能表示を取得した住宅)

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
区分 棟数 倒壊 大破 軽微〜中破 無被害
基準法の水準
(性能表示なし・等級1)
301棟 7棟(2.3%) 12棟(4.0%) 101棟(33.6%) 181棟(60.1%)
耐震等級3 16棟 0棟 0棟 2棟(12.5%)※ 14棟(87.5%)

出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書(平成28年9月30日とりまとめ)のポイント。数値は報告時点の集計です。※耐震等級3の2棟はいずれも軽微・小破で、中破はありません。

耐震等級3の住宅16棟は、倒壊・大破がなく、大部分が無被害でした。2回の大きな揺れを受けても、等級3の住宅は被害が小さくおさえられていたことが分かります。

一方で、等級3の調査対象は16棟と多くはなく、調査も被害の大きかった地域に限ったものです。「等級3なら絶対に壊れない」と言い切れるものではなく、「被害を小さくおさえる備え」として考えるのが、データに沿った見方です。

3. 耐震等級3で受けられる優遇|地震保険・フラット35S・長期優良住宅

耐震等級3の住宅は、安心だけでなく、お金の面でも優遇を受けられる場合があります。ただし、どの優遇も「耐震等級を示す書類」を出すことが条件です。主なものを表にまとめました。

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
制度 条件と優遇 主に使える書類
地震保険の
耐震等級割引
保険料が等級3で50%、等級2で30%、等級1で10%割引(他の割引との重複は不可) 住宅性能評価書、長期優良住宅の認定通知書と設計内容説明書、フラット35の適合証明書など
フラット35S
(金利Aプラン)
耐震等級3(または免震建築物)で、当初5年間の金利が年0.5%引き下げ(フラット35Sのみの場合) 適合証明書(住宅性能評価書があれば、物件検査の一部を省ける場合があります)
フラット35S
(金利Bプラン)
耐震等級2以上で、当初5年間の金利が年0.25%引き下げ(同上) 同上
長期優良住宅 一戸建ては耐震等級2以上などが認定の条件。税の優遇などの対象になります 所管行政庁の認定通知書

出典:財務省「地震保険制度の概要」、日本損害保険協会「地震保険ご契約のしおり」、住宅金融支援機構「フラット35S」(2026年10月時点の公表内容)、国土交通省「長期優良住宅」。フラット35Sは予算の上限に達すると受付が終わります。金利の引下げ幅は制度の見直しで変わることがあるため、ご契約時に最新の内容をご確認ください。

知っておきたいポイント
地震保険の割引では、新築の場合、長期優良住宅の認定通知書だけを出したときや、書類から等級が2か3かを特定できないときは、割引が30%になります。等級3の割引を確実に受けるには、等級が明記された書類を手元に残しておくことが大切です。

4. 「耐震等級3相当」と「評価書付き」の違い

住宅の広告では「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の2つの書き方を見かけます。違いは、第三者機関が評価し、等級が書類で示されているかどうかです。

国に登録された「登録住宅性能評価機関」が評価した住宅には、「住宅性能評価書」が交付されます。評価書には、設計図の段階で評価する「設計住宅性能評価書」と、工事中の現場検査も経て交付される「建設住宅性能評価書」の2種類があります。一方の「相当」は、会社が自社の計算で等級3の水準を満たしていると説明しているもので、計算そのものがしっかり行われている場合もありますが、外から確かめる書類がありません。

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
評価書付き 評価書以外の
証明書類あり
相当
(書類なし)
確認する人 登録住宅性能評価機関 適合証明を行う検査機関など 建てる会社のみ
等級が書類に残るか 残る 書類の種類による 残らない
地震保険の等級割引 対象 書類の内容に応じて対象 対象外
フラット35S 対象(適合証明書の取得が必要) 物件検査に合格すれば対象 対象外
将来の売却時の説明 しやすい 書類を添えて説明できる 根拠を示しにくい

地震保険・フラット35Sの扱いは、第3章の出典にもとづいて整理しています。

よく「相当では地震保険の耐震等級割引もフラット35Sも受けられない」と説明されますが、正確には「等級を示す第三者の書類が1枚もない場合は受けられない」です。評価書がなくても、フラット35の適合証明書などで優遇を受けられる場合があります。大切なのは言葉の違いより、「どの書類で、何が証明されているか」を確かめることです。

5. 等級3の強さを左右する構造計算・接合部・地盤

同じ等級3でも、どのように強さを確かめたかで中身の確かさは変わります。住宅の構造を確かめる方法には、主に次の2つがあります。

壁量計算と許容応力度計算

「壁量計算」は、地震や風に抵抗する壁が建物全体で十分な量あるかを確かめる、比較的簡易な方法です。「許容応力度計算」は、柱や梁、基礎などの部材一本一本にかかる力を計算して安全を確かめる方法で、「構造計算」の代表的な方法です。手間はかかりますが、建物ごとの形や間取りに合わせて強さを確認できるのが特長です。家を選ぶときは「等級3かどうか」とあわせて、「どの方法で確かめたか」を聞いてみると、説明の丁寧さも見えてきます。

接合部・地盤・制震という視点

壁がいくら強くても、柱と土台、梁をつなぐ接合部が弱ければ、揺れに耐えきれないことがあります。また、建物を支える地盤が弱ければ、地震で建物が傾くおそれもあります。耐震性は「壁の量」だけでなく、接合部の金物、地盤調査と必要に応じた地盤改良、基礎のつくりまで含めて考えることが大切です。

さらに、建物を固くして揺れに耐える「耐震」に対し、揺れのエネルギーを吸収して建物の変形をおさえるのが「制震」です。耐震等級は建物の強さを表す物差しで、制震装置の有無は等級の評価とは別に考えます。くり返す余震への備えとして、耐震と制震を組み合わせる考え方もあります。

6. 建売住宅で耐震等級3を確かめる3つの方法

注文住宅なら設計の段階で等級を決められますが、建売住宅(分譲住宅)は完成した、または計画済みの建物を選ぶことになります。購入前に次の3つを確かめておくと安心です。

方法1:等級が書かれた書類があるかを確かめる

まず、住宅性能評価書があるかを聞いてみましょう。評価書がある場合は、「構造の安定に関すること」の中の「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」の欄で等級を確認できます。評価書がない場合も、長期優良住宅の認定書類やフラット35の適合証明書など、等級が分かる書類があるかを確かめます。

方法2:どの方法で構造を確かめたかを聞く

壁量計算か、許容応力度計算(構造計算)か。建物ごとに計算しているか。こうした質問に、具体的に答えてもらえるかを確かめます。

方法3:引き渡しのときに受け取れる書類を確かめる

地震保険の割引やローンの優遇を受けるには、ご自身で書類を出す必要があります。将来、売却するときにも書類が家の性能を説明してくれます。引き渡し時にどの書類を受け取れるかを、契約前に確認しておきましょう。号棟ごとの確かめ方は&RESORT Lifeの記事でもご紹介しています。

  • 住宅性能評価書(設計・建設)はあるか、耐震等級の欄はいくつか
  • 損傷防止の等級もあわせて確認したか
  • 長期優良住宅の認定書類、フラット35の適合証明書など、ほかの書類はあるか
  • 構造をどの方法で確かめたか(許容応力度計算か)
  • 地盤調査の結果と、必要に応じた地盤改良の内容を聞いたか
  • 引き渡し時に受け取れる書類を契約前に確認したか

7. よくある質問

耐震等級3なら、震度7でも倒れませんか?
耐震等級は震度ではなく、「数百年に一度程度の地震の力の何倍に耐えるか」で決められています。震度7が2回観測された熊本地震の益城町中心部の調査でも、等級3の住宅16棟に倒壊・大破はありませんでした。ただし、地盤や揺れ方によって被害は変わるため、「絶対に倒れない」と言い切れるものではありません。
「耐震等級3相当」の家でも地震保険の耐震等級割引は受けられますか?
等級を示す書類がなければ、等級による割引は受けられません。住宅性能評価書のほか、長期優良住宅の認定書類やフラット35の適合証明書などで割引を受けられる場合があります。どの書類を受け取れるかを、購入前に確認しておきましょう。
建売住宅で耐震等級3かどうかは、どこで確かめればよいですか?
住宅性能評価書があれば、「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」の欄で確認できます。評価書がない場合は、ほかに等級が分かる書類があるか、どの方法で構造を確かめたかを販売会社に尋ねてみてください。
耐震等級3にすると、間取りの自由度は下がりますか?
等級3は等級1より多くの壁や強い部材が必要になるため、大きな窓や広い空間の取り方に工夫が要る場合があります。構造計算で建物ごとに強さを確かめ、壁倍率の高い耐力壁を使うことで、開放的な間取りと両立させる方法もあります。
耐震等級3と制震ダンパーは何が違いますか?
耐震等級は建物そのものの強さを示す物差しで、制震ダンパーは揺れのエネルギーを吸収して建物の変形をおさえる装置です。役割が異なるため、組み合わせることで、くり返す余震への備えになると考えられています。

まとめ

耐震等級3は、建築基準法が想定する大地震の1.5倍の力に耐える、住宅性能表示制度の最高等級です。熊本地震の被害調査を国の委員会が分析した結果でも、等級3の住宅の被害は小さくおさえられていました。

一方で、地震保険の割引やフラット35Sなどの優遇を受けるには、等級を示す書類が欠かせません。家を選ぶときは、「等級3」という言葉だけでなく、どの書類で、どのように確かめられているかまで見ておくと安心です。実際の住まいをご覧になりたい方は、エリアごとの物件情報や見学会もぜひご活用ください。

参考資料

  1. 住宅性能評価・表示協会「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(国土交通省住宅局 編集協力、令和7年12月1日施行版)
  2. 国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書(平成28年9月30日とりまとめ)のポイント
  3. 財務省「地震保険制度の概要」
  4. 日本損害保険協会「地震保険ご契約のしおり」(2022年10月改定版)
  5. 住宅金融支援機構「フラット35S」
  6. 住宅金融支援機構「フラット35S(技術基準)」
  7. 国土交通省「長期優良住宅」
  8. 国土交通省「長期優良住宅認定制度の概要」(令和7年4月施行の見直し)

アイム・ユニバースの家をエリアで探す

東京で家を探す 物件一覧を見る > 埼玉で家を探す 物件一覧を見る > 千葉で家を探す 物件一覧を見る > 全エリアで家を探す 物件一覧を見る >
アイム・ユニバースの家は、耐震等級3を標準採用2016年以降、制震システムを原則全棟に搭載。第12回ジャパン・レジリエンス・アワード2026 最優秀賞

新着記事

制震ダンパーとは?耐震・免震との違いと耐震等級との関係

屋上のある家とは?間取り・動線・費用と後悔しない選び方

屋上テラスとは?できることと防水・手すり・費用の基本

新着情報一覧へ戻る