制震ダンパーは意味ない?効かない制震になる条件と確かめ方
耐震等級は、震度ではなく「想定する地震の力の何倍に耐えるか」で決められています。耐震等級3は、数百年に一度程度の大地震の力の1.5倍に対しても倒壊・崩壊しない水準で、2016年の熊本地震で震度7が2回観測された地域の調査では、等級3の住宅16棟に倒壊・大破はありませんでした。
一方で、地盤や揺れ方、家具など、等級の外にある被害もあります。この記事では、気象庁の解説表で見る震度7の揺れ、震度と等級の違い、2016年の熊本地震で分かったこと、2026年7月の熊本地震の速報、「震度7に何回耐えるか」に国の答えはあるか、そして等級3でも想定外になりやすい5つのことをご紹介します。
- 震度7とはどんな揺れか|気象庁の解説表で見る木造住宅
- 耐震等級3は「震度いくつまで」ではない
- 2016年熊本地震|震度7が2回、等級3の住宅はどうだったか
- 2026年7月の熊本地震でわかっていること(速報)
- 「震度7に何回耐えるか」に国の答えはあるか
- 耐震等級3でも想定外になりやすい5つのこと
- 震度7のあとも住み続けるための備え
- 等級3の家を選ぶときに確かめること
- アイム・ユニバースの地震への備え
- よくある質問
1. 震度7とはどんな揺れか|気象庁の解説表で見る木造住宅
震度7は、気象庁の震度階級で最も大きい揺れです。気象庁の「震度階級関連解説表」では、震度7のとき、耐震性が高い木造住宅でも、壁などのひび割れ・亀裂が多くなり、まれに傾くことがあるとされています。
| 震度 | 耐震性が高い木造住宅 | 耐震性が低い木造住宅 | 家の中 |
|---|---|---|---|
| 6弱 | 壁などに軽微なひび割れ・亀裂がみられることがある | 壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。大きなひび割れが入ることも。瓦の落下、傾き、倒れるものもある | 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある |
| 6強 | 壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある | 大きなひび割れ・亀裂が入るものが多くなる。傾くものや、倒れるものが多くなる | 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる |
| 7 | 壁などのひび割れ・亀裂が多くなる。まれに傾くことがある | 傾くものや、倒れるものがさらに多くなる | 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある |
出典:気象庁「震度階級関連解説表」。この表の「耐震性が高い」は、おおむね1982年(昭和57年)以降の建物を目安にした区分で、耐震等級3を指すものではありません。構法や壁の配置などによって耐震性に幅があるとされています。
この表から分かるのは、耐震性の高い家でも、震度7では傷みが出ることがあり、家の中では家具が倒れたり飛んだりするということです。「倒れない」ことと「無傷で住み続けられる」ことは、分けて考えておく必要があります。
2. 耐震等級3は「震度いくつまで」ではない
耐震等級は、震度ではなく、建築基準法が想定する「数百年に一度程度の地震の力」の何倍に耐えるかで決められています。等級3はその1.5倍に対して倒壊・崩壊しない水準で、住宅性能表示制度のガイドでは、等級は地震の力の倍率で示されていて、「震度7でも倒れない」といった震度での表記はありません。
震度は、ある場所で観測された揺れの強さを表すもので、同じ震度7でも揺れ方は場所によって違います。2026年7月28日の熊本地震では、震度7を観測した2地点のうち、宇城市豊野町の最大加速度は2,437.8gal、氷川町島地は747.5galでした(気象庁)。同じ震度でも、加速度に3倍以上の違いがあったことになります。
そのため、「耐震等級3なら震度7でも大丈夫」と言い切ることはできません。等級3は「大きな地震に対して、より余裕を持たせた設計」と受け止めるのが正確です。等級の意味と1.5倍の考え方は、耐震等級3のコラムでご紹介しています。
3. 2016年熊本地震|震度7が2回、等級3の住宅はどうだったか
2016年(平成28年)の熊本地震では、4月14日の前震と4月16日の本震で、いずれも最大震度7が観測され、震度6弱以上の地震は計7回観測されました。被害の大きかった益城町中心部の調査で、耐震等級3の木造住宅16棟は、14棟が無被害、2棟が軽微または小破で、倒壊・大破はありませんでした。
同じ国の報告では、ほかにも次のことが分かっています。
- 調査の範囲で、前震で倒壊・崩壊したと確認された木造住宅に、2000年以降に建てられたものはなかった
- 2000年以降に建てられ、倒壊が確認された木造住宅7棟のうち、3棟は接合部の仕様が不十分、1棟は敷地の崩壊や基礎の傾斜などが確認された
- 残る3棟は明確な要因が確認できず、局所的に大きな揺れが働いた可能性が考えられるとされた
出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書 概要。日本建築学会が益城町中心部で行った悉皆調査の結果を、国土技術政策総合研究所と建築研究所が分析したもので、数値は報告時点の暫定的なものです。
等級3の調査対象は16棟と多くはなく、調査した地域も限られています。そのうえで、震度7が2回続いた地域で、等級3の住宅の被害が小さくおさえられていたことは、等級3の備えの意味を示す結果といえます。等級ごとの詳しい表は、耐震等級3のコラムでご紹介しています。
4. 2026年7月の熊本地震でわかっていること(速報)
2026年(令和8年)7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7が観測されました。気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と名付けています。
国土技術政策総合研究所と建築研究所が8月31日に公表した木造建築物の被害調査の速報では、築年数がおおむね45年を超えると推定される木造住宅などで倒壊が多数確認された一方、築年数が比較的浅いと推定される建物の多くでは、外観上大きな被害はみられなかったとされています。ただし、速報は外観の調査を中心にまとめたもので、耐震等級ごとの集計はまだ示されていません。今後、日本建築学会の悉皆調査と合同で、被害の要因を分析する予定とされています。
速報の主な内容は、地震に強い家のコラムでくわしくご紹介しています。
5. 「震度7に何回耐えるか」に国の答えはあるか
「震度7に何回耐えられるか」について、国が回数を示した基準は見当たりません。熊本地震の国の報告書は、建築基準法の構造計算が、過去の地震被害をふまえつつ、ひとつの地震の揺れを用いて安全性を確かめていることに触れています。つまり、揺れの回数を直接確かめる仕組みにはなっていません。
2026年の熊本地震の国の速報では、住民の話として、築80年以上といわれる木造住宅で、2016年の熊本地震で被害を受けて増築・改築を行った建物が、今回倒壊したことが報告されています。速報は倒壊の原因までは示していませんが、同じ地域で10年をはさんで大きな地震が再び起きたことを示す例です。
大きな揺れのあとは、外から見て被害がなくても、点検を受けて傷みを確かめておくことが大切です。くり返す揺れによる傷みをおさえる備えとして、強い建物に制震を重ねる考え方もあります。制震のしくみは、制震ダンパーのコラムをご覧ください。
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6. 耐震等級3でも想定外になりやすい5つのこと
耐震等級3は建物の強さを示す物差しで、建物の外にある条件や、家の中の安全までは表していません。国の調査や気象庁の資料から、等級3の家でも気をつけたい5つのことをまとめました。
| 想定外になりやすい点 | 国の資料で分かっていること | 確かめる・備える方法 |
|---|---|---|
| 1. 地盤 | 2016年は敷地の崩壊や基礎の傾斜、2026年は断層近くの地盤の変形で大きく傾いた住宅が報告された | ハザードマップ、活断層の位置、地盤調査の結果と地盤改良の記録 |
| 2. 接合部と施工 | 2016年に倒壊した2000年以降の木造住宅のうち3棟は、接合部の仕様が不十分だった | 金物の仕様、工事中の検査(建設住宅性能評価など) |
| 3. 局所的に大きな揺れ | 明確な要因がなく倒壊した例で、局所的に大きな揺れの可能性が考えられている | 地盤の揺れやすさを確かめ、建物の強さに余裕を持たせる |
| 4. 家具と家の中 | 震度7では、固定していない家具のほとんどが移動・転倒し、飛ぶこともある | 家具の固定、寝室に背の高い家具を置かない |
| 5. 内装と設備 | 2026年の速報では、聞き取りで、外観上被害がなくても内装材に被害があった住宅が確認された | 地震後の点検(内装・設備も)、地震保険 |
出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書 概要、国土技術政策総合研究所・建築研究所「令和8年熊本地震による木造建築物の被害調査報告(速報)」(2026年8月31日)、気象庁「震度階級関連解説表」
表のうち、1〜3は家を選ぶときに確かめられ、4と5は住み始めてからの備えで小さくできます。2026年の速報では、築年数がおおむね45年を超えると推定される建物に倒壊が多く、断層近くでは地盤の変状で傾いた住宅もみられました。要因の分析はこれからとされています。
7. 震度7のあとも住み続けるための備え
震度7のあとも住み続けるためには、建物の強さに加えて、家の中の安全と、傷んだときの立て直しの備えが必要です。
- 家具を金具などで壁に固定し、寝室や出入り口のまわりに倒れやすい家具を置かない
- 大きな揺れのあとは、外から見て被害がなくても、点検を受ける
- 地震保険で、暮らしの立て直しに備える(等級3を示す書類を出せば50%割引)
- くり返す揺れへの備えとして、制震の有無を確かめる
地震保険の割引と保険料の目安は、耐震等級3と地震保険のコラムでご紹介しています。
8. 等級3の家を選ぶときに確かめること
震度7への備えとして等級3の家を選ぶときは、等級の数字だけでなく、次の点もあわせて確かめておくと安心です。
- 等級3が書かれた書類(住宅性能評価書など)があるか
- 構造計算(許容応力度計算)をしたか
- 損傷防止の等級はいくつか
- 地盤調査の結果と、必要に応じた地盤改良の内容
- 制震装置は付いているか、製品名と本数
等級3を証明する書類の種類は、耐震等級3の証明書のコラムでご紹介しています。建売住宅での確かめ方は、&RESORT Lifeの記事も参考になります。
9. アイム・ユニバースの地震への備え
アイム・ユニバースの住まいでは、耐震等級3を標準採用し、原則として全棟で構造計算を行っています。そのうえで、2016年以降、原則全棟に制震システムを搭載しています。現在は、独自に開発した制震ダンパー「AIM DAMPER」「AIM DAMPER AⅢ」のいずれかを導入しています。

AIM DAMPER AⅢは、壁倍率4倍の国土交通大臣認定を取得しており、当社が公表している、壁倍率が同じ両筋交いとの比較実験の結果では、揺れ幅が最大81%低減しています。こうした取り組みをまとめた当社の「長寿命レジリエンス住宅」は、第12回「ジャパン・レジリエンス・アワード2026」で最優秀賞を受賞しました(2026年4月)。くわしくは性能・技術のページと受賞のページをご覧ください。
アイム・ユニバースでは、建てる前にJIS(JIS A 1221)に定められたスクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)で地盤の強度を調べ、必要な場合は摩擦杭や支持杭を使い分けて地盤を改良します。基礎は防水シートを敷いたうえでのベタ基礎で、柱の結合部はホールダウン金物や柱頭・柱脚金物などの構造金物で補強しています。また、一般の木材に比べ約1.3倍の強度を持つ集成材を使い、筋交いに構造用合板を併用して、壁や床を面で支えます(性能・技術のページ)。
10. よくある質問
- 耐震等級3なら、震度7でも倒れませんか?
- 耐震等級は震度で決められていません。2016年の熊本地震で調査した等級3の16棟に倒壊・大破はありませんでしたが、地盤や揺れ方によって被害は変わります。
- 震度7に何回耐えられますか?
- 国の基準は、ひとつの大地震の揺れで安全を確かめる考え方のため、回数は示されていません。大きな揺れのあとは点検を受けましょう。
- 震度7で家が倒れる確率は、等級ごとに分かりますか?
- 国が等級ごとの確率を示した資料は見当たりません。2016年の熊本地震などの調査結果が、実際の地震での目安になります。
- 耐震等級3でも、家具の固定は必要ですか?
- 必要です。気象庁は、震度7では固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともあるとしています。
- 2026年の熊本地震で、等級3の家はどうでしたか?
- 8月31日に公表された国の速報は建てた時期ごとの傾向をまとめたもので、耐震等級ごとの集計はまだ示されていません。
まとめ
耐震等級3は、震度ではなく、大地震の力の1.5倍に耐える水準を示すものです。2016年の熊本地震では、震度7が2回観測された地域で、等級3の住宅の被害は小さくおさえられていました。一方で、地盤や接合部、家具など、等級の外にある被害もあります。
家を選ぶときは、等級3の書類に加えて、地盤と構造の確かめ方、制震の有無を確かめ、住み始めたら家具の固定と地震保険で備えてみてください。耐震等級3を標準とした住まいを実際にご覧になりたい方は、エリアごとの物件情報もぜひご活用ください。