耐震等級3は後悔する?意味ないと言われる7つの理由と答え
耐震等級3で後悔したという声の多くは、費用・間取り・工期の見込み違いと、等級や書類の受け取り違いから生まれています。前者は契約前の確認で防ぎやすく、後者は国の定義と調査で答えを確かめられます。
2024年の能登半島地震の国の調査では、耐震等級3の木造住宅19棟のうち、1棟が軽微から中破で、ほかは無被害でした。この記事では、「後悔」「意味ない」と言われる7つの理由を一つずつ取り上げ、等級が約束している範囲、国の調査の結果、追加費用の内訳、地震保険の割引で取り戻せる額の目安、等級2との比べ方をご紹介します。
- 耐震等級3で後悔すると言われる7つの理由
- 「等級3でも壊れた」は本当?等級が約束している範囲
- 国の調査で見る耐震等級3の被害|能登半島地震と2016年熊本地震
- 「くり返しの地震に弱い」は本当か
- 費用で後悔しないために|追加費用の3つの内訳
- 地震保険の割引で、どのくらい取り戻せるか
- 間取り・工期で後悔しないために
- 「等級1・2で十分」は本当?等級ごとの比べ方
- 後悔しないための確認リスト
- アイム・ユニバースの耐震等級3
- よくある質問
1. 耐震等級3で後悔すると言われる7つの理由
耐震等級3で後悔したという声は、お金・間取り・手続き・実感・被害・くり返しの地震・書類の7つに分けられます。それぞれに実際の原因があり、事前に確かめておけば防ぎやすいものです。
| 後悔の声 | 実際の原因 | 事前に確かめること |
|---|---|---|
| 1. 思ったより費用がかかった | 構造計算や評価の申請、補強の費用を見込んでいなかった | 等級3が標準か追加か、費用の内訳(第5章) |
| 2. 間取りが思いどおりにならなかった | 壁や柱が増え、大きな窓や吹き抜けに制約が出た | 希望の間取りで等級3を保てるか(第7章) |
| 3. 工期や手続きが長くなった | 評価の申請や現場検査の日程を見込んでいなかった | 申請の時期と検査の回数(第7章) |
| 4. ふだん違いを感じない | 大きな地震のときに働く備えのため | 保険やローンの優遇で、ふだんから受けられる効果(第6章) |
| 5. 等級3でも被害を受けたと聞いた | 等級が約束する範囲が、受け取り方とずれていた | 倒壊等防止と損傷防止の2つの等級(第2章) |
| 6. くり返しの地震に弱いと聞いた | 研究が続いている話が、一般論として広まっている | 国の調査で分かっていること(第4章) |
| 7. 優遇が受けられなかった | 「等級3相当」で、等級を示す書類がなかった | 引き渡しで受け取れる書類(第9章) |
1〜4は「見込み違い」、5と6は「等級の意味の受け取り違い」、7は「書類の確かめ不足」と言いかえられます。7の「相当」と評価書付きの違いは、耐震等級3相当のコラムでくわしくご紹介しています。
2. 「等級3でも壊れた」は本当?等級が約束している範囲
耐震等級(倒壊等防止)は、壊れないことではなく、人命が損なわれるような壊れ方をしないことを示す等級です。住宅性能評価・表示協会の「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(国土交通省住宅局 編集協力)では、「倒壊等防止」を、数百年に一回は起こりうる大きさの力に対して「損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしないようにすること」と説明しています。
つまり、等級3は「等級1の1.5倍の力でも倒れにくい」ことを示すもので、ひびや傷みがまったく出ないことまでは約束していません。「等級3でも壊れたから意味ない」という声は、この範囲の受け取り方の違いから生まれていることがあります。
傷みにくさは「損傷防止」の等級で確かめる
耐震等級には、もう一つ「損傷防止」の等級があります。こちらは、数十年に一回は起こりうる大きさの力に対して、大規模な工事が伴う修復を要するほどの著しい損傷が生じないようにすることを表します。住宅性能評価書では2つが別の欄に書かれているため、地震のあとも住み続けやすいかを知りたいときは、損傷防止の等級もあわせて確かめましょう。
なお、耐震等級は「震度いくつまで耐えられるか」で決められたものではありません。等級の意味と1.5倍の考え方は、耐震等級3のコラムでご紹介しています。
3. 国の調査で見る耐震等級3の被害|能登半島地震と2016年熊本地震
国の調査では、耐震等級3の木造住宅の大部分が無被害でした。2つの大きな地震の、被害の大きかった地域での調査結果をまとめます。
| 地震 | 区分 | 棟数 | 被害 |
|---|---|---|---|
| 2024年 能登半島地震 | 耐震等級3 | 19棟 | 1棟が軽微から中破、ほかは無被害 |
| 2024年 能登半島地震 | 耐震等級2 | 12棟 | 1棟が軽微から中破、ほかは無被害 |
| 2024年 能登半島地震 | 長期優良住宅 | 19棟 | 1棟が軽微から中破、ほかは無被害 |
| 2016年 熊本地震 | 耐震等級3 | 16棟 | 14棟が無被害、2棟が軽微または小破 |
出典:国土交通省・国土技術政策総合研究所・建築研究所「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会 最終とりまとめ」(令和7年12月)。日本建築学会が輪島市・珠洲市・穴水町の一定の地区で行った悉皆調査の結果を、国の委員会が分析したものです(木造住宅)。熊本地震は国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書による、益城町中心部の調査の結果です。区分の棟数は重なっている場合があります。
能登半島地震の最終とりまとめは、住宅性能表示制度や長期優良住宅制度を活用した木造住宅は「ほぼ無被害であった」としています。また、2000年以降に建てられた木造建築物の倒壊・崩壊は0.7%(608棟のうち4棟)で、熊本地震の調査と同じような傾向だったと報告しています。
一方で、どちらの調査も、等級3の棟数は多くはなく、調査した地域も限られています。また、等級2の住宅も大部分が無被害でした。「等級3なら絶対に壊れない」とは言えませんが、「等級3は意味がない」という声を裏付ける結果ではありません。熊本地震の調査の詳しい表は耐震等級3のコラム、2026年7月の令和8年熊本地震について8月31日に公表された速報は地震に強い家のコラムでご紹介しています。2026年7月の令和8年熊本地震について、国土技術政策総合研究所などが8月31日に公表した速報には、耐震等級ごとの集計はまだ示されていません(国の委員会で今後分析される予定です)。
4. 「くり返しの地震に弱い」は本当か
くり返しの地震が建物に与える影響は研究が続いている段階で、「等級3だからくり返しの地震に弱い」という根拠は見当たりません。能登半島地震の最終とりまとめでは、2023年5月に能登地方で起きた地震の揺れが、2024年の地震の建物被害にどう影響したかを解析した研究で、「建築物の最大変形にほとんど影響は見られない」という結果が報告されたことが紹介されています。
ただし、これはひとつの研究の結果です。2016年の熊本地震のように、震度7の揺れが2回続いた例もあり、くり返しの揺れへの備えが不要だとまでは言えません。強い建物にしたうえで、揺れのエネルギーを吸収する制震を重ねる考え方もあります。制震の働きは耐震等級の評価には入りません。採り入れるかどうかは、製品の試験条件を確かめて判断しましょう。くわしくは制震ダンパーのコラムをご覧ください。
5. 費用で後悔しないために|追加費用の3つの内訳
耐震等級3の追加費用は、構造の計算、評価の申請、補強の工事の3つに分けて見ると、比べやすくなります。
| 内訳 | 中身 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 構造の計算 | 等級3を満たすかを確かめる計算(許容応力度計算など) | 計算の方法と、費用が建物価格に含まれるか |
| 評価の申請 | 登録住宅性能評価機関への申請と現場検査 | 設計・建設のどちらの評価書を取るか、評価料金 |
| 補強の工事 | 耐力壁や金物、梁などを増やす・強くする費用 | 等級1・2の場合との差額 |
評価の料金は、評価機関がそれぞれ独自に決めています。国がまとめた追加費用の相場はなく、紹介されている金額は各社が示した目安です。また、等級3を標準仕様にしている会社では、追加費用という形では見えないこともあります。費用を比べるときは、「等級3が標準に含まれているか」を先に確かめましょう。間取りと費用の関係は、&RESORT Lifeの記事でもくわしくご紹介しています。
6. 地震保険の割引で、どのくらい取り戻せるか
地震保険は、耐震等級3を示す書類があると保険料が50%割引になります。建築年割引(10%)だけの場合より、毎年、基本の保険料の40%分安くなります。財務省が公表している地震保険の基本料率から、東京都・埼玉県・千葉県の目安を計算しました。
| 都県・建物の構造 | 割引なし | 建築年割引(10%) | 耐震等級3(50%) | 1年の差 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都・千葉県イ構造 | 27,500円 | 24,750円 | 13,750円 | 11,000円 |
| 東京都・千葉県ロ構造 | 41,100円 | 36,990円 | 20,550円 | 16,440円 |
| 埼玉県 イ構造 | 26,500円 | 23,850円 | 13,250円 | 10,600円 |
| 埼玉県 ロ構造 | 41,100円 | 36,990円 | 20,550円 | 16,440円 |
出典:財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」「地震保険制度の概要」をもとに当社で計算。地震保険金額1,000万円・保険期間1年の場合です。イ構造は主に鉄骨・コンクリート造の建物など、ロ構造は主に木造の建物などで、木造でも省令準耐火建物などはイ構造になる場合があります。実際の保険料は、保険会社の見積もりでご確認ください。
たとえば、木造(ロ構造)の住まいで地震保険金額が1,000万円なら、等級3の書類があることで、建築年割引だけの場合より年16,440円、10年で約16万円(料率が今と変わらない場合)の差になります。等級3にするための追加費用の見積もりを、この1年の差で割ると、何年で取り戻せるかの目安になります。フラット35Sの金利の優遇は、耐震等級3のコラムをご覧ください。
7. 間取り・工期で後悔しないために
吹き抜けや大きな窓は、建物ごとに構造を確かめれば、耐震等級3と両立できる場合があります。強さを確かめる方法には、壁の量を確かめる比較的簡易な計算と、柱や梁の一本一本にかかる力を確かめる許容応力度計算があり、後者のほうが建物の形に合わせて強さを確かめられます(耐震等級3のコラム)。
2025年(令和7年)4月からは、木造住宅の構造の審査が見直されました。2階建て以下の木造で構造計算が必要になる規模は、延べ面積500㎡超から300㎡超へ引き下げられています。一般的な広さの住宅で、許容応力度計算が一律に義務になったわけではないため、「どの方法で確かめたか」は今も聞いておきたい点です。
工期については、住宅性能評価を受ける場合、設計の段階で申請し、建設住宅性能評価では、3階建て以下の住宅は原則として4回、評価機関が現場で検査します。検査の日程を工程に組み込んでいるかを、契約前に確かめておくと安心です。間取りの弱点になりやすい形は、&RESORT Lifeの記事でご紹介しています。
8. 「等級1・2で十分」は本当?等級ごとの比べ方
耐震等級2でも長期優良住宅の耐震の基準は満たせますが、地震保険の50%割引は等級3が条件です。フラット35Sも、耐震の基準で金利Aプランを使うには等級3が必要です。等級ごとの違いを表にまとめました。
| 等級 | 想定する地震の力 | 地震保険の割引 | フラット35S | 長期優良住宅の耐震の基準 |
|---|---|---|---|---|
| 等級1 | 建築基準法と同じ水準 | 10% | 耐震の基準では対象外 | 原則として満たさない |
| 等級2 | 等級1の1.25倍 | 30% | 金利Bプラン(耐震の基準) | 満たす |
| 等級3 | 等級1の1.5倍 | 50% | 金利Aプラン(耐震の基準) | 満たす |
出典:住宅性能評価・表示協会「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(国土交通省住宅局 編集協力)、財務省「地震保険制度の概要」、住宅金融支援機構「フラット35S」(2026年10月時点)、国土交通省「長期優良住宅」。長期優良住宅(新築)の耐震の基準は、耐震等級2以上または免震建築物です(2025年4月施行の見直し後)。フラット35Sを使うには、評価書とは別に、検査機関の検査を経た適合証明書が必要です。フラット35Sは、ほかの基準で利用できる場合や、予算の上限で受付が終わる場合があります。
能登半島地震の調査では、等級2の住宅も大部分が無被害でした。等級2を選ぶ考え方もありますが、保険やローンの優遇、将来の売却での説明のしやすさまで含めて比べると、等級3を選ぶ理由が見えてきます。
9. 後悔しないための確認リスト
契約前に、費用の内訳、希望の間取りで等級3を保てるか、受け取れる書類の3点を確かめておけば、後悔の多くは防げます。打ち合わせや内見のときに、次の8項目をお使いください。
- 耐震等級3は標準仕様か、追加の費用がかかるか
- 追加の費用は、計算・申請・工事のどれにかかるか
- 希望の間取り(吹き抜けや大きな窓)で等級3を保てるか
- 構造をどの方法で確かめたか(許容応力度計算か)
- 評価書は設計・建設のどちらか、または両方か
- 損傷防止の等級はいくつか
- 地震保険の割引に使える書類を受け取れるか
- 評価の申請の時期と、現場検査を含めた工期
建売住宅で耐震等級を確かめる流れは、建売の耐震等級のコラムや&RESORT Lifeの記事でもご紹介しています。
10. アイム・ユニバースの耐震等級3
アイム・ユニバースの住まいでは、耐震等級3を標準採用し、原則として全棟で構造計算を行っています。そのうえで、2016年以降、原則全棟に制震システムを搭載しています。現在は、独自に開発した制震ダンパー「AIM DAMPER」「AIM DAMPER AⅢ」のいずれかを導入しています。AIM DAMPER AⅢは、壁倍率4倍の国土交通大臣認定を取得しており、当社が公表している、壁倍率が同じ両筋交いとの比較実験の結果では、揺れ幅が最大81%低減しています。
また、当社の住まいは設計住宅性能評価を取得し、長期優良住宅の認定を受けています(物件によっては該当しない場合があります)。くわしくは設計住宅性能評価・長期優良住宅のページ、性能・技術のページ、受賞のページをご覧ください。
11. よくある質問
- 耐震等級3は意味ないって本当ですか?
- 国の調査では、等級3の木造住宅の大部分が無被害でした。地震保険の割引も最大の50%です。後悔の声の多くは費用や間取りの見込み違いで、契約前の確認で防ぎやすいものです。
- 耐震等級3でも壊れることはありますか?
- 倒壊等防止の等級は、損傷は受けても人命が損なわれる壊れ方をしない水準を示すもので、傷みがゼロになるわけではありません。傷みにくさは損傷防止の等級で確かめます。
- 等級3にすると、費用はどれくらい上がりますか?
- 国がまとめた相場はなく、計算・申請・工事の3つで会社ごとに違います。等級3が標準仕様に含まれているかを先に確かめましょう。
- 耐震等級2では足りませんか?
- 能登半島地震の調査では、等級2の住宅も大部分が無被害でした。ただし、地震保険の50%割引と、耐震の基準でのフラット35Sの金利Aプランは等級3が条件です。
- 等級3にすると、地震保険はいくら安くなりますか?
- 等級3の書類があれば50%割引です。東京都の木造(ロ構造)で地震保険金額1,000万円なら、年41,100円が20,550円になります(財務省の基本料率から計算)。
まとめ
耐震等級3で後悔したという声の多くは、費用・間取り・工期の見込み違いと、等級や書類の受け取り違いから生まれています。国の調査では、等級3の木造住宅の大部分が無被害で、地震保険の割引で毎年の保険料の差も生まれます。
契約前に、費用の内訳、間取り、受け取れる書類を確かめれば、後悔の多くは防げます。耐震等級3を標準とした住まいを実際にご覧になりたい方は、エリアごとの物件情報もぜひご活用ください。