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コラム

2026.10.23

地震に強い家は何で決まる?土地・建物・揺れ対策の確かめ方

地震に強い家は、「土地(地盤)」「建物の強さ」「揺れをおさえる工夫」「地震のあとの暮らし」の4つで決まります。どれか1つが優れていても、ほかが弱ければ、家としての強さは十分とはいえません。

この記事では、2026年7月の熊本地震で国の研究機関が行った調査の速報もふまえながら、4つの要素をそれぞれ「どこで、何を見れば確かめられるか」という順番でご紹介します。これから家を建てる方にも、建売住宅を選ぶ方にもお役立ていただける内容です。

目次

  1. 地震に強い家とは|4つの要素で決まる
  2. 2026年7月の熊本地震の調査でわかったこと
  3. 土地(地盤)を確かめる
  4. 建物の強さを確かめる
  5. 揺れをおさえる工夫|形・重さ・制震と構造の種類
  6. 地震のあとも住み続けられるか
  7. 「地震に強い家ランキング」を見る前に聞きたい5つの質問
  8. よくある質問

1. 地震に強い家とは|4つの要素で決まる

地震に強い家とは、建っている土地が揺れや変形に強く、建物そのものが十分な強さを持ち、揺れによる傷みをおさえる工夫があり、地震のあとも住み続けられる家のことです。4つの要素と、それぞれを確かめる場所を表にまとめました。

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
要素 何で決まるか どこで確かめるか
土地(地盤) 地形、液状化のしやすさ、盛土、断層からの距離 重ねるハザードマップ、地盤調査報告書、地盤改良の記録
建物の強さ 耐震等級、構造の確かめ方(壁量計算・許容応力度計算)、接合部 住宅性能評価書、構造計算書、図面
揺れをおさえる工夫 建物の形と重さ、上下階の壁のそろい方、制震 平面図・立面図、制震装置の仕様書
地震のあとの暮らし 内装や設備の傷みにくさ、停電・断水への備え 設備の仕様、保証と点検の内容

このあと、この4つを順に見ていきます。工法ごとの特徴をくわしく知りたい方は、地震に強い家の特徴と工法の記事もあわせてご覧ください。

2. 2026年7月の熊本地震の調査でわかったこと

2026年(令和8年)7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7が観測されました。気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と名付けています。

この地震について、国土技術政策総合研究所と建築研究所は8月31日に、木造建築物の被害調査の速報を公表しました。速報の主な内容は次のとおりです。

  • 築年数がおおむね45年を超えると推定される木造住宅や納屋などで、倒壊が多数確認された
  • 重い屋根で、筋交いの端部の接合が釘だけとみられる住宅の倒壊もみられた
  • 築年数が比較的浅いと推定される建物の多くでは、外観上大きな被害はみられなかった
  • 外観上は被害がなくても、内装材に被害があった住宅も確認された
  • 断層が地表に現れた境界の近くでは、地盤の変形によって大きく傾いた住宅も確認された

出典:気象庁「令和8年熊本地震」強震観測データ・報道発表、国土技術政策総合研究所・建築研究所「令和8年熊本地震による木造建築物の被害調査報告(速報)」(2026年8月31日)。速報のため、今後の調査で内容が修正される可能性があります。

同じ日に公表された瓦屋根の速報では、調査した範囲において、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」にもとづく工法で葺かれていることが確認できた住宅では、震度7の地域でも瓦のずれや脱落は確認されなかったと報告されています。

速報からは、建てた時期とつくり(接合部や屋根の重さ)、断層近くの地盤が被害に関わった可能性がうかがえます(くわしい分析はこれからとされています)。これは2016年(平成28年)の熊本地震の調査結果とも重なります。このときの益城町中心部の調査(日本建築学会)では、1981年5月以前に建てられた木造建築物の倒壊・崩壊が28.2%だったのに対し、2000年6月以降に建てられたものは2.2%でした(暫定値)。

3. 土地(地盤)を確かめる

どれほど強い建物でも、土地が揺れやすかったり、地盤が変形したりすれば、建物は傾いたり傷んだりします。地震に強い家を考えるとき、最初に確かめたいのが土地です。

ハザードマップで土地の成り立ちを見る

国土交通省と国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、住所を入れるだけで、その土地の洪水や土砂災害のリスクに加えて、土地の成り立ち(もともと川や沼だった場所か、台地か、盛土かなど)を確かめられます。もとが川や沼、海だった低い土地や、谷を埋めた盛土は、地震の揺れが大きくなったり、液状化が起きたりしやすいといわれています。

液状化と盛土にも注意する

液状化は、地下水を多く含んだ砂の地盤が、地震の揺れで液体のようになる現象です。建物が傾いたり、道路や水道管が壊れたりする原因になります。また、谷や斜面を土で埋めた盛土の土地は、揺れでずれたり沈んだりすることがあります。重ねるハザードマップでも液状化の起こりやすさを確かめられます。自治体の液状化マップや大規模盛土造成地マップもあわせて見ておくと安心です。

地盤調査の結果と、地盤改良の記録を見る

家を建てる前には、一般に地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良をします。建売住宅を選ぶときは、販売会社に地盤調査報告書を見せてもらい、どんな調査を行ったか、地盤改良をしたかどうかを確かめておくと安心です。

2016年の熊本地震では、益城町で木造建築物の被害が集中した地域は、古くから住宅がある市街地とおおむね重なり、段丘にほぼ一致していたと報告されています(揺れの評価には追加の地盤調査などが必要とされています)。地盤は「固いか、やわらかいか」だけでは決まらず、地形や揺れの伝わり方も関係します。気になる土地は、地盤にくわしい専門家に相談するのもひとつの方法です。

4. 建物の強さを確かめる

建物の強さを示す代表的な物差しが「耐震等級」です。耐震等級3は、建築基準法が想定する大きな地震の力の1.5倍に対しても倒壊・崩壊しない強さを示します。等級の意味と、等級を示す書類の確かめ方は、耐震等級3のコラムでくわしくご紹介しています。

構造の確かめ方にも注目する

同じ耐震等級でも、強さをどのように確かめたかで、中身の確かさは変わります。木造住宅では、壁の量が足りているかを確かめる「壁量計算」と、柱や梁、基礎など部材ごとにかかる力を計算する「許容応力度計算(構造計算)」があります。建物ごとに構造計算を行っているかどうかは、会社に確かめたい大切なポイントです。

接合部と、2025年の見直し

柱と土台、梁をつなぐ接合部は、地震の力を受け止める要の部分です。2026年の速報でも、筋交いの端部の接合が釘だけとみられる住宅の倒壊が報告されています。また、2025年(令和7年)4月からは、木造2階建ての住宅も、建築確認のときに構造に関する図書の提出が必要になるなど、審査のしくみが見直されました。家を建てる時期によって、どの基準で設計されているかを確かめておくと安心です。

5. 揺れをおさえる工夫|形・重さ・制震と構造の種類

建物の強さに加えて、揺れそのものを大きくしない工夫も大切です。

形と重さ

一般に、上から見た形がシンプルで、凹凸が少ない建物ほど、揺れの力がかたよりにくくなります。また、屋根や外壁が重いほど、地震のときに建物にかかる力は大きくなります。2026年の速報でも、重い屋根で接合が釘だけとみられる住宅の倒壊が報告されています。2階や3階の壁が、下の階の壁の上にそろっているかどうかも、力をスムーズに地面へ伝えるうえで大切です。

間取りで気をつけたいこと

大きな吹き抜けや、壁の少ない広いリビング、角に大きな窓を集めた間取りは、開放感がある一方で、地震に抵抗する壁が少なくなりがちです。こうした間取りを選ぶときは、構造計算で建物ごとに強さを確かめているか、ほかの場所で壁や柱が補われているかを確かめましょう。間取りの楽しさと地震への強さは、設計しだいで両立できます。

制震で、くり返す揺れに備える

建物の強さを高める「耐震」に加えて、揺れのエネルギーを吸収する「制震」を組み合わせると、くり返す揺れによる傷みをおさえる助けになります。制震ダンパーのしくみや選び方は、制震ダンパーのコラムでくわしくご紹介しています。

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違い

表は横にスクロールしてご覧いただけます。
構造 特徴 地震に強くするために確かめたいこと
木造 軽く、戸建て住宅で多く使われる 耐震等級、構造計算の有無、接合部、壁の配置
鉄骨造 柱や梁が鉄骨で、広い空間をとりやすい 構造計算の内容、接合部、さび対策
鉄筋コンクリート造 重く、かたい建物になる 構造計算の内容、地盤と基礎

どの構造が一番強いかは、構造の種類だけでは決まりません。同じ木造でも、2016年の熊本地震では、建てた年代によって被害に大きな差が出ています。構造の種類より、その家がどの基準で、どのように確かめられて建てられたかが大切です。

6. 地震のあとも住み続けられるか

地震に強い家を考えるとき、「倒れないか」だけでなく、「地震のあとも住み続けられるか」も大切な視点です。2026年の速報でも、外観に被害がなくても内装材に被害があった住宅が確認されています。

  • 家具や家電を固定し、倒れにくくしておく
  • 割れにくい、飛び散りにくい窓ガラスを選ぶ
  • 停電や断水に備えて、水や食料、明かりを備えておく(飲料水は1人1日3リットルを最低3日分、大規模災害に備えるなら1週間分が望ましいとされています。首相官邸の案内より)
  • 太陽光発電や蓄電池など、停電のときも電気を使える設備を検討する

7. 「地震に強い家ランキング」を見る前に聞きたい5つの質問

「地震に強い家」を探していると、会社のランキングを目にすることがあります。ただ、国の調査は会社ごとではなく、建てた年代や建物のつくりごとにまとめられています。会社の名前で選ぶより、その家について次の5つを聞いてみるほうが確実です。

聞きたいこと 確かめられること
1. 耐震等級はいくつで、何で確かめたか 等級と、評価書などの書類の有無
2. 構造の確かめ方は、建築基準法の壁量計算か、住宅性能表示の計算か、許容応力度計算か 建物ごとの構造計算の有無
3. 地盤調査の結果と、地盤改良をしたか 土地の強さと、その対策
4. 制震装置は付いているか、何をどこに何本か くり返す揺れへの備え
5. 引き渡しのときに、どの書類を受け取れるか 保険の割引や、将来の売却時の説明に使える書類

間取りから地震への強さを見分ける考え方は、地震に強い家の間取りの見分け方でもご紹介しています。

8. よくある質問

震度7でも壊れない家はありますか?
「絶対に壊れない」と約束できる基準はありません。耐震等級は震度ではなく地震の力の大きさで決められており、等級3は等級1の1.5倍の力に耐える水準です。くわしくは耐震等級3のコラムをご覧ください。
木造と鉄骨造、鉄筋コンクリート造では、どれが地震に強いですか?
構造の種類だけでは決まりません。同じ木造でも、2016年の熊本地震では、建てた年代によって倒壊の割合に大きな差が出ています。その家の耐震等級や、構造の確かめ方を見ることが大切です。
地震で倒れなかったハウスメーカーはどこですか?
国の調査は、会社ごとではなく、建てた年代や建物のつくりごとにまとめられています。会社の名前よりも、その家の耐震等級、構造の確かめ方、地盤を確かめるほうが確実です。
3階建てや、凹凸のある形の家は地震に弱いですか?
形は揺れ方に影響する要素のひとつです。3階建てでも、構造計算で建物ごとに強さを確かめれば、十分な耐震性を確保することは可能です。制震を組み合わせると、くり返す揺れへの備えも厚くなります。
地盤が弱いかどうかは、どう調べればよいですか?
まず「重ねるハザードマップ」で土地の成り立ちを確かめ、建物ごとの地盤調査報告書と、地盤改良をしたかどうかを確かめます。

まとめ

地震に強い家は、土地、建物の強さ、揺れをおさえる工夫、地震のあとの暮らしの4つで決まります。2026年の熊本地震の速報でも、建てた時期とつくり、地盤が被害に関わったことがうかがえます。

家を選ぶときは、会社の名前や印象だけでなく、ハザードマップと地盤調査、耐震等級と構造計算、制震の有無を、書類と質問で確かめてみてください。実際の住まいをご覧になりたい方は、エリアごとの物件情報もぜひご活用ください。

参考資料

  1. 気象庁「令和8年熊本地震」強震観測データ
  2. 気象庁「「令和8年熊本地震」について(第3報)」
  3. 国土技術政策総合研究所・建築研究所「令和8年熊本地震による木造建築物の被害調査報告(速報)」本文
  4. 国土技術政策総合研究所「令和8年熊本地震による木造建築物の被害調査報告(速報)」の公開について(2026年8月31日)
  5. 国土技術政策総合研究所「令和8年熊本地震による建築物の瓦屋根等の被害調査報告(速報)」の公開について(2026年8月31日)
  6. 国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書 概要
  7. 国土交通省・国土地理院「重ねるハザードマップ」
  8. 首相官邸「災害が起きる前にできること」
  9. 国土交通省「4号特例が変わります」

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