地震に強い家の間取りの見分け方|図面で確認する2つのポイント

地震に強い家の間取りの見分け方|図面で確認する2つのポイント-アイム・ユニバース
地震・耐震

地震に強い間取りかどうかは、①1階と2階で柱と壁がどれだけ揃っているか(直下率)②その間取りに対してどの構造計算をしたか、の2点で決まります。「正方形かどうか」だけでは判断できません。

吹き抜けやビルトインガレージも、諦めるかどうかを先に決める必要はありません。その形のまま耐震等級3が成立するかを確認してから決められます。

▼この記事で分かること

  • 間取り図と構造図から直下率と耐力壁のバランスを確認する手順(目安の数値つき)
  • 「耐震等級3」の中身を分ける2つの計算方法と、書面での確認のしかた
  • 吹き抜け・大開口・ビルトインガレージを希望する場合の進め方

地震に強い間取りは「形」より上下階の揃い方で決まる

間取りの耐震性は、建物の形の単純さに加えて、上下階の柱・壁の位置が揃っているか(直下率)と、耐力壁が4方向にバランスよく配置されているかで決まります。この2つは図面があれば施主でも確認できます。

正方形や長方形に近いシンプルな形が地震に強い、というのは基本的な考え方として正しいです。L字型・コの字型は、へこんだ角の部分に力が集中しやすくなります。2階が1階からはみ出すオーバーハングは、その荷重を受ける梁に負担がかかります。

ただし、これは形だけの話です。同じ長方形の総2階でも、1階と2階で柱の位置がずれていれば、上の階の荷重を柱ではなく梁が受けることになり、力の伝わり方が悪くなります。形が単純であることは前提条件であって、判断の終点ではありません。

直下率を図面で確認する4ステップ

直下率を図面で確認する4ステップ-アイム・ユニバース

直下率とは、1階と2階で柱や壁の位置がどれだけ重なっているかの割合です。この率が高いほど、上の階の荷重と地震の力が柱・壁を通じてまっすぐ基礎まで伝わります。

確認の手順

  1. 住宅会社に「壁量計算図」または「伏図(ふせず)」を出してもらう。 営業担当から受け取る間取り図(意匠図)には、どの壁が耐力壁かが描かれていません。耐力壁の位置が分かるのは構造側の図面です。まずこれを依頼します
  2. 1階と2階の図面を同じ縮尺で印刷し、2階を1階の上に重ねます
  3. 上下で位置が一致している柱の数、一致している耐力壁の長さを数えます
  4. 一致している数(長さ)を、2階の柱の総数(耐力壁の総長さ)で割ります

目安の数値

項目 望ましいとされる水準 より安全側の水準
柱の直下率 50%以上 60%以上
壁の直下率 60%以上 65%以上

この数値は建築実務で使われている目安であり、建築基準法や住宅性能表示制度で定められた基準ではありません。設計者によって考え方に幅があります。数えた結果が目安を下回った場合は、設計者に直下率の数値を計算してもらい、その数値でどう判断しているかを聞いてください。 施主の手計算はあくまで話を始めるための材料です。

耐力壁は「四隅」ではなく4方向のバランスで見る

耐力壁は「四隅」ではなく4方向のバランスで見る-アイム・ユニバース

耐力壁は、量だけでなく配置の偏りが問題になります。東西南北のうち一方向だけ壁が少ないと、地震のときに建物がねじれます。壁の総量が基準を満たしていても、偏っていれば倒れます。

判断の目安になるのが偏心率です。建物の重さの中心(重心)と、硬さの中心(剛心)がどれだけずれているかを示す数値で、住宅性能表示制度の耐震等級では0.15以下が基準とされています。図面上の目視では分からないため、設計者に偏心率の数値を出してもらってください。

阪神・淡路大震災では、南側に大きな窓を並べた住宅が南に向かって倒れる被害が多く見られました。壁の量は基準を満たしていたものの、配置が偏っていたケースです。

「耐震等級3」は計算方法によって中身が変わる

耐震等級3は、住宅性能表示制度で定められた等級のうち最高ランクで、等級1(建築基準法と同等)の1.5倍の力に耐えることを示します。ただし、その等級を出す計算には壁量計算と許容応力度計算の2種類があり、検証の細かさが違います。等級の数字だけでなく、どちらの計算で出したかを確認してください。

出典:住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく住宅性能表示制度。一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「地震などに対する強さ(構造の安定)」(https://www.hyoukakyoukai.or.jp/seido/kizon/10.html )/「住宅性能評価書の見方 2025年4月1日施行版」(https://www.bcj.or.jp/upload/inspection/evaluation/mikata_20250401.pdf

壁量計算と許容応力度計算の違い

項目 壁量計算 許容応力度計算
検証する対象 建物全体の壁の量と配置バランス 柱・梁・接合部・基礎など、部材ごとにかかる力
検証しないこと 個々の梁や柱が持つかどうか、基礎の強度 (上記を検証する)
計算書の分量 数ページ〜十数ページ 数十ページ〜百ページ超
大空間・大開口への対応 判断が設計者の経験に依存しやすい 補強の必要量を数値で算出できる
費用・期間 安く、短い 高く、長い

壁量計算でも耐震等級3は取得できます。ただし、吹き抜け・大開口・ビルトインガレージのように壁が減る間取りでは、「壁の総量は足りているが、その大空間を支える梁が持つかどうか」は壁量計算では検証されません。間取りに希望がある人ほど、許容応力度計算の必要性が上がります。

2025年4月の法改正で変わったこと

2025年4月施行の改正建築基準法により、いわゆる「4号特例」が縮小され、木造2階建て住宅の構造に関する審査が厳格化されました。従来は木造2階建て住宅の構造関係規定について建築確認時の審査が省略されていましたが、改正後は木造2階建てが「新2号建築物」に分類され、構造関係規定も審査対象となりました。

ただし、これは木造2階建て住宅で許容応力度計算が一律に義務化されたという意味ではありません。審査対象となったのは、壁量計算などの仕様規定です。木造2階建て住宅で許容応力度計算を行うかどうかは、引き続き住宅会社の設計方針などによって異なります。

出典:2025年4月施行の改正建築基準法。制度の概要は国土交通省の公表資料による。【編集メモ:国土交通省サイト内の該当ページURLを添付すること。解説記事ではなく一次資料を参照先にする】

書面で確認する3項目

住宅会社に耐震等級3と言われたら、次の3つを口頭ではなく書面で確認してください。

  1. 等級3の根拠が壁量計算か、許容応力度計算か
  2. その計算書そのもの(表紙だけでなく中身。見方が分からなくても、渡してもらえるかどうかが判断材料になります)
  3. 住宅性能評価書を取得しているか。取得していない場合、「自社基準で等級3相当」なのか、第三者機関の評価を受けた等級3なのか

このうち3つめが、最も答えが返ってきやすい項目です。計算の種類を社外に出していない会社は少なくありませんが、第三者評価を取得しているかどうかは事実として答えられます。

アイム・ユニバースは設計住宅性能評価を取得しています。ただし公式の案内に「物件によっては『設計住宅性能評価』『長期優良住宅』に該当しない場合もございます」との注記があるため、検討している物件が取得済みかは個別に確認してください。

出典:株式会社アイム・ユニバース「設計住宅性能評価・長期優良住宅」

吹き抜け・大開口・ビルトインガレージは「その形のまま成立するか」で決める

壁が減る間取りは、確かに耐震上の弱点になります。ただし判断は「入れる/諦める」の二択ではありません。その間取り図のまま耐震等級3が成立するかを設計者に計算してもらい、成立するなら入れる、成立しないなら補強するか形を変える、という順番で決められます。

弱点になる5つのパターンと、その理由

間取り 何が起きるか
1階のビルトインガレージ 開口部の幅だけ1階の耐力壁がなくなる。2階の荷重を受ける柱・壁も同時に失われる
大きな吹き抜け 2階の床が地震の力を壁に伝える役割を持つため、床が抜けた部分では力の伝達が途切れる
スキップフロア 床の高さが階ごとに揃わず、力を伝える面が分断される
南面全体の大開口 南側の耐力壁だけが減り、4方向のバランスが崩れてねじれる
オーバーハング(2階の張り出し) 張り出した部分の荷重を柱ではなく梁が受ける。直下率が下がる

補強の手段

  • 大空間を支える梁のサイズを上げる、または集成材・鉄骨に変更する
  • 減った耐力壁を、別の位置に振り分けて配置し直す
  • 構造用面材を使い、壁1枚あたりの強さ(壁倍率)を上げる
  • 柱と梁の接合部の金物を強化する

いずれも許容応力度計算を行えば、必要な補強の量を数値で出せます。

プラン変更のたびに計算をやり直してもらう

家づくりの過程で間取りは何度も変わります。打ち合わせで壁を1枚動かせば、直下率も耐力壁のバランスも変わります。

契約前に、次の1点を確認してください。

「プランを変更するたびに構造計算をやり直し、変更後の計算書を出してもらえますか」

初回プランの計算書だけを見せられ、その後の変更が反映されていないケースを避けるための確認です。

制震装置は「耐力壁として認定されているか」で意味が変わる

制震装置の多くは、耐震等級の計算上、耐力壁として算入されません。 揺れのエネルギーを吸収して建物の損傷を抑える役割であり、壁の量には数えられないためです。

つまり、一般的な制震装置は「制震装置があるから壁を減らせる」というものではありません。耐震等級3を取ったうえでの上乗せです。

例外があります。国土交通大臣認定で「木造軸組工法耐力壁」として認定された製品は、壁倍率を持つ耐力壁として計算に算入されます。 この場合、制震装置が壁の量そのものに数えられます。

アイム・ユニバースが標準搭載している制震ダンパー「AIM DAMPER」は、これにあたります。鋼製K型筋交いを使い、壁倍率3.3倍の耐力壁として国土交通大臣認定を取得しています(認定番号 FRM-0641)。震度3〜4程度までは耐力壁として働き、それを超える揺れではダンパー部分がスライドして摩擦抵抗で揺れを吸収する仕組みです。阪神・淡路大震災レベルの地震波を10回加振した実験で、ほぼ損傷がなかったとしています。

出典:株式会社アイム・ユニバース「&RESORT HOUSEを支える性能と技術」(https://aim-universe.co.jp/product/performance/ )/認定番号は国土交通省 住宅局「構造方法等の認定に係る帳簿(指定建築材料等・壁倍率/認定記号 FRM、TBFC)」(https://www.mlit.go.jp/common/001489233.pdf )で照合可能。帳簿の一覧は国土交通省「建築基準法に基づく構造方法等の認定に係る帳簿等」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000165.html

つまり、制震装置は「ついているか」ではなく「どの認定を持っているか」で扱いが変わります。制震装置の説明を受けたら、次の3つを確認してください。

  1. 製品名(メーカー名と製品名)
  2. 大臣認定の認定番号。番号が分かれば、上記の国交省の帳簿で誰が何を認定されたのかを自分で照合できます
  3. その製品を耐震等級3の計算に算入しているか、算入せずに上乗せとしているか

【内部リンク推奨】>>耐震・制震・免震の違いを詳しく見る

間取り以外で耐震性を左右する3つの要素

間取りを整えても、地盤・建物の重さ・上下階の窓位置がずれていれば耐震性は下がります。この3つは間取りの検討と同じ段階で判断できます。

地盤は間取りより先に確認する

建物がどれだけ強くても、地盤が沈めば傾きます。土地を決める前、または着工前に次を確認してください。

  1. 国土交通省「重ねるハザードマップで、その土地の液状化・洪水・土砂災害のリスクを見る
  2. 地盤調査報告書を出してもらう。スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)が一般的です
  3. 地盤改良が必要と判定された場合、工法と費用を書面でもらう

地盤改良には表層改良・柱状改良・鋼管杭工法があり、必要な深さによって工法と費用が変わります。

アイム・ユニバースでは、着工前にJIS認定のスウェーデン式サウンディング試験で地盤の強度を調査し、結果に応じて摩擦杭・支持杭による地盤改良とベタ基礎を採用しています。

出典:株式会社アイム・ユニバース「&RESORT HOUSEを支える性能と技術」

屋根と建物の上部を軽くする

建物の上部が重いほど、地震のときに揺れ幅が大きくなります。屋根材を瓦からガルバリウム鋼板などの軽い材料に変えると、上部の重さが下がります。

ただし、重さそのものが問題なのではありません。その重さを織り込んで構造計算をしていれば、設計で対応できます。 屋上テラスや太陽光パネルのように上部に重さが加わる仕様も、荷重を計算に含めて必要な補強をすれば成立します。

施主側でできることは1つです。2階に置く予定の重量物を、設計段階で設計者に伝えておくこと。 ピアノ、大型の書棚、大量の書籍、水槽などが該当します。あとから持ち込むと計算に含まれません。

平屋も上下階の窓位置も、判断は同じ

平屋は2階の荷重がないぶん有利ですが、壁の配置が偏っていれば平屋でも倒れます。 平屋だから安心という判断はできません。確認すべきは、2階建てと同じく耐力壁の量とバランスです。

2階建てでは、上下階で窓の位置が揃っていることも耐震性に効きます。窓は壁がない部分なので、上下で位置がずれると力の通り道が途切れます。

耐震性にかかる費用の内訳

耐震性を高める費用は一括りにできません。何にいくらかかるかは、次の3つに分けて見積もりを取ってください。

費目 何の費用か 発生の条件
許容応力度計算 構造計算の設計費用 実施する場合。標準仕様に含まれる会社もある
制震装置 装置本体と設置工事 導入する場合。標準搭載の会社では本体価格に含まれる
地盤改良 改良工事 地盤調査の結果で必要と判定された場合のみ

費用を判断するときの3点

  • 複数社から見積もりを取る。 同じ「耐震等級3」でも、計算方法・制震装置の有無・地盤改良の要否で金額が変わります。等級の数字だけで横並びに比べないでください
  • 見積書で費目を分けてもらう。 「耐震仕様一式」ではなく、上記3費目が分かれているかを確認します
  • 地震保険の割引を確認する。 耐震等級に応じた割引があり、**耐震等級3は50%、耐震等級2は30%、耐震等級1は10%**の割引が受けられます。この割引率は損害保険料率算出機構が定めているため、どの保険会社で契約しても同じです。適用には建設住宅性能評価書・設計住宅性能評価書などの書類が必要になるため、住宅性能評価を取得しておくかどうかがここで効いてきます

出典:損害保険料率算出機構が定める地震保険の割引制度(耐震等級割引)。適用条件と確認資料は各社共通

よくある質問

Q1. 間取り図だけで、地震に強いかどうか判断できますか?

判断できません。一般的な間取り図(意匠図)には、どの壁が耐力壁かが描かれていないためです。建物の形が単純かどうかは間取り図で分かりますが、直下率と耐力壁の配置を確認するには、住宅会社に壁量計算図または伏図を出してもらう必要があります。

Q2. 「耐震等級3」と言われました。信頼できるか確認する方法はありますか?

3つあります。①等級3の根拠が壁量計算か許容応力度計算かを書面で確認する ②計算書そのものを見せてもらえるかを確認する ③第三者機関が発行する住宅性能評価書を取得しているか、自社基準の「等級3相当」なのかを確認する。このうち①が最も差が出る項目です。

Q3. 吹き抜けやビルトインガレージは、諦めるしかありませんか?

諦める前に、その間取り図のまま耐震等級3が成立するかを設計者に計算してもらってください。成立しない場合も、梁のサイズ変更・耐力壁の再配置・構造用面材の採用などで補強できることがあります。判断は「入れる/諦める」ではなく「計算して、成立する形に調整する」です。

Q4. 制震装置を付ければ、壁を減らして開放的な間取りにできますか?

一般的な制震装置ではできません。多くの制震装置は耐震等級の計算上、耐力壁として算入されないためです。ただし「木造軸組工法耐力壁」として国土交通大臣認定を取得した製品は、壁倍率を持つ耐力壁として算入されます。制震装置の説明を受けたら、製品名と認定番号を聞き、国土交通省が公開している「構造方法等の認定に係る帳簿」で照合してください。

Q5. 平屋なら地震に強いと考えていいですか?

平屋は2階の荷重がないぶん有利ですが、それだけでは判断できません。壁の配置が一方向に偏っていれば、平屋でもねじれて倒れます。平屋でも、耐力壁の量とバランス、地盤の強さの確認は2階建てと同じように必要です。

打ち合わせの前に持っていく3つの確認事項

間取りの耐震性は、形の印象ではなく図面と計算で確認できます。次の3つを住宅会社との打ち合わせに持っていってください。

  1. 壁量計算図または伏図を出してもらい、1階と2階を重ねて直下率を確認する。 そのうえで、設計者に直下率と偏心率の数値を出してもらう
  2. 耐震等級3の根拠が壁量計算か許容応力度計算かを、書面で確認する
  3. 希望する間取り(吹き抜け・大開口・ガレージ)のまま等級3が成立するかを、プラン変更前に確認する。 あわせて、プラン変更のたびに計算をやり直した書面が出るかを確認する

株式会社アイム・ユニバースの無料相談会

間取りの希望と耐震性の両立について具体的に相談したい方は、アイム・ユニバースの無料相談会をご利用ください。建築士が、構造計算の内容、制震装置の仕様、実際の設計事例をもとに、ご希望の間取りが成立するかどうかの見通しをお伝えします。上記3つの確認事項について、その場で図面と計算書をご覧いただきながらご説明します。

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