土間のある家の間取り2選|メリットデメリットや快適にするポイントを紹介

コラム

土間とは室内でありながら靴を履いたまま入れるスペースのことです。昔の日本ではよく見られていた家づくりの様式で、20〜30坪の新築にも取り入れられるとして最近再び注目が高まっています。

今回は土間のある家の間取り例やメリット・デメリット、快適にするためのポイントを紹介します。

「土間」とは?

土間とは、室内でありながら土足で入れる空間を指し、日本の昔ながらの民家によく見られるスペースです。現在は土間のない家が多いものの、ここ数年で再び土間が注目されるようになりました。

まずは土間の定義や歴史、注目されている理由を見ていきましょう。

「土間」とは、土足で入れる空間のこと
室内で床を張らずに土足で入れる空間のことを「土間」といいます。

昔の土間は土を固めただけの三和土(たたき)が主流でしたが、最近では漆喰(しっくい)を塗り固めた床やコンクリート、タイルを敷いたものなどがあり、おしゃれな仕上がりの土間が増えています。

土間の歴史
土間の歴史は縄文時代の竪穴式住居から始まります。当時は室内全体が土間で、そこに藁などを敷いていました。

江戸時代に入ると、土間は屋外と室内をつなぐ中間領域の空間へと変化していき、釜や水桶を置いて炊事場として多く利用されました。土足で入れるため、汚れたものや水を扱う作業場に適していたのです。

20世紀初めに西洋文化が流通したことで土間のある家は徐々に少なくなり、室内を土足で踏み入れられる場所は玄関のみという家が主流になりました。

現在、土間が注目されている理由
西洋文化の発展によって姿を消しつつあった土間ですが、最近再び注目が集まっています。その理由は土間が「生活を豊かにするおしゃれな空間」として見直されているからです。

収納スペースやコミュニケーション空間としてなど、ライフスタイルに合わせて幅広く活用できると注目されています。

土間のある家の間取り例2選

ここでは最も取り入れやすいといわれている「玄関土間」と、玄関から家の奥まで続く「通り土間」の例を紹介します。

土間のある家を検討している人は、ぜひこれらの間取りを参考にしてみてはいかがでしょうか。

取り入れやすい「玄関土間」

玄関土間が取り入れやすい理由は、もともと土足で出入りできる玄関スペースを広くするだけで良いため、現代主流となっている間取りのパターンにそのまま当てはめやすいからです。

土間は地面とほぼ同じ高さに作るため、居住スペースよりも低い位置にある玄関スペースを広くとった間取りにすることで、土間としての役割を果たせます。

玄関土間に設ける収納スペースは、三輪車やベビーカー、ゴルフバッグといった外の汚れが目立つものを気軽にしまえます。

物でごちゃごちゃするのを防ぎ、整頓されたきれいな玄関を維持できるのも嬉しいポイントです。

玄関から家の奥まで続く「通り土間」

通り土間とは、玄関から部屋の奥まで廊下のように続いている土間を指します。

例えばリビングやキッチン、洗面所を通る間取りであれば、玄関で靴を脱がずにそのまま部屋までたどり着けます。

お散歩帰りの愛犬をそのまま洗面所に連れて行けたり、買い物帰りに靴を履いたまま食材をキッチンへ運んだりできるため便利です。

このように動線を考慮した間取りは利便性が高く、使い勝手の良い住まいとなります。

土間のある家のメリット5つ

土間のある家では収納や趣味のスペースが確保できたり、子どもやペットの遊び場にできたりとさまざまなメリットがあります。

ここでは土間のある家のメリットを5つ紹介します。

1. シューズクロークを設けられる
玄関スペースを広く確保した土間のある家は、シューズクロークを設けられます。家族が多い家庭や靴をたくさん所有している人におすすめです。

収納量を確保しやすいため、長靴やスキーブーツといった大きめの靴を入れるスペースも設けやすいというメリットもあります。

スポーツ用品や釣り道具など、アウトドアグッズを土間の収納にまとめて入れるのも良いでしょう。

2. アウトドア系の趣味スペースにできる
土間はアウトドア系の趣味スペースにできるのもメリットのひとつです。

例えばロードバイクが趣味な人なら、土間にお気に入りの自転車を飾っておくという手があります。

天候に左右されないため、メンテナンス作業をしやすいのも良いところです。室内に置いておけるため、錆びたり盗難にあったりする心配もありません。

他にも、ゴミが出やすいDIYを楽しむ場としても活用できます。木工で出る木くずも土間であれば履き掃除しやすいのがメリットです。

土間は部屋より汚れを気にせずに使えるため、子どもが工作をしたり絵を描いたりするアトリエとして使うのも良いでしょう。

3. 応接室・第2のリビングとして活用できる
広めの土間にすれば、応接室や第2のリビングとしても使えます。テーブルや椅子を置いて、ちょっとしたカフェのような空間をつくるのも良いでしょう。

靴を脱いで家に上がってもらうよりも、気兼ねなく友人を招くことができます。応接室として利用する場合には、ソファなどの家具を十分に置ける5畳以上のスペースを確保するのがおすすめです。

4. 子ども・ペットの遊び場になる
広々とした玄関土間や、開放的な通り土間を設けることで、子どもやペットの遊び場としても活用できます。雨で公園やお散歩に行けない日でも、土間があればのびのび遊べるのが嬉しいポイントです。

遊び道具の収納スペースを設ければ、片付けもしやすく快適な空間を保ちやすくなります。

5. 部屋干しがしやすい
土間は部屋干しスペースとしても役立ちます。リビング内に干すと邪魔になったり、においが気になったりしますが、土間に干せばリビングで気兼ねなくくつろげて、においが部屋に充満することもありません。

また、土間は大気中に漂う花粉やPM2.5などが洗濯物に付着する心配がないため、これらに敏感な人が部屋干しをするのにも最適です。

土間のある家のデメリット4つ

土間のある家は多くのメリットが得られると同時に、暖房効率の低下や結露しやすいといったデメリットが生じます。土間を取り入れてから後悔しないためにも、どんなデメリットがあるのかを、ここで確認しておきましょう。

1. 居住スペースが狭まる
土間を設けると、居住スペースが狭まるといったデメリットがあります。玄関土間や通り土間のスペースが広ければ広いほど、当然ながらフローリングを敷ける範囲が狭まります。

土間を検討している場合は、他の部屋も十分な広さを確保できるかどうかも併せて確認するようにしましょう。

2. 暖房の効きが悪い
土間は暖房の効きが悪く、寒さを感じやすい空間です。暖房が効きにくい理由は、土間の構造上地面からの冷えが発生しやすいからです。

土間は基本的に熱伝導率が高いコンクリートやタイルなどの素材が多いため、底冷えしやすいという特徴があります。フローリングのように床下空間と断熱材で冷えを防ぐ対策をしていない点も寒さの原因のひとつです。

3. 外部の温度に影響されて結露しやすい
土間は外部と室温の温度差が生じやすい空間で、結露しやすい点もデメリットです。

特に冬場は外の気温が低いため、暖房のついた室内との温度差が激しくなり結露が発生しやすくなります。 結露ができるとカビやダニが発生しやすくなり、アレルギー症状を引き起こす原因になります。

なるべく湿気がこもらないよう、空気が流れやすい間取りにするなどして湿度対策を行いましょう。

4. 床の素材・仕上げ方によっては高価になる
土間はな素材や仕上げ方法によっては高価になるケースがあります。

例えば、上質な天然石など職人が手作業で仕上げたものは費用が高くなります。

コンクリートは比較的安価とされていますが、なかでも素材選びや仕上げ方法による価格の違いを事前に調べておくのがおすすめです。

土間をより快適な空間にするポイント

あらかじめ土間づくりのポイントを抑えておくことでデメリットを緩和できます。ここでは土間をより快適な空間にするポイントを6つ解説します。

1. 床は滑りにくい素材を選ぶ
土間づくりで重要なのは床材です。滑りにくい素材を選ぶことで怪我の防止につながります。子どもが遊んだり水を使った作業をしたりする場面でも、滑りにくい素材ならより安心です。

なかでも耐久性や耐水性が高いタイル材は汚れも目立ちにくく、天然石やモルタル(セメント素材)に比べて滑りにくいのでおすすめです。

2. 必要であれば水栓・排水、コンセントなどを設置する
土間で愛車のバイクを洗うなど水を使用するのであれば、水栓・排水を設置しましょう。水栓があれば土間が汚れたときにも洗い流せて、掃除の面でも便利です。

また電気機器を使用したりワークスペースとして使ったりする場合には、コンセントの設置も検討してみてください。携帯やパソコン、プリンターのバッテリーなどを充電するのに活躍します。

3. 床暖房・断熱材・仕切りなどで寒さ対策をする
土間の寒さ対策として、床暖房や断熱材、仕切りなどをうまく取り入れるのもポイントです。また窓やドアを断熱性の高いものにすることで、外気からの影響を緩和できます。

さらに土間と室内を仕切る目的として、ロールスクリーンなどを取り付けるのも良いでしょう。空間を区切ると暖房効率が上がるのでおすすめです。

4. 湿度調整しやすいよう素材・間取りを考える
湿気対策や冬場の結露対策として、湿度調整しやすい素材や間取りを考えます。

例えば、調湿効果が高いとされている珪藻土を床材や壁に使用するなどです。また、風がスムーズに通り抜ける間取りにすることで、結露が起こりにくく湿気がこもるのを防げます。

5. 夜でも使えるように照明を設置する
夜に土間で作業をしたり、くつろいだりできるように照明を設置しましょう。土間の目的に合わせて照明器具を選ぶのがポイントです。

例えばバイクや自転車のメンテナンスといった細かい作業をする場合には、明るさのある昼白色の照明がおすすめです。

一方、お酒を飲んだりソファを置いてくつろいだりする場合には、温かみのあるオレンジっぽい光の電球色や間接照明を選ぶと良いでしょう。

6. おしゃれにコーディネートする
土間をおしゃれにコーディネートするのも快適度を上げるポイントです。自分や家族が好きなテイストのインテリアを置いたり、好きなものをディスプレイしたりすれば、土間への愛着が増します。

つい居たくなるような、家族が自然と集まってくる素敵な空間に仕上げてみませんか?

便利で楽しい土間のある家をマイホームに

 

室内でありながら土足で過ごせる土間は、趣味スペースとして活用したり、子どもやペットの遊び場にしたりと幅広い用途で活用できる空間です。

居住スペースが狭まったり寒さを感じやすかったりといったデメリットがありますが、設計時に確保できる広さを確認しておいたり、床暖房や断熱材を取り入れたりするなどで解決できます。

土間のある家は、暮らしをより豊かで快適なものにしてくれます。検討している人は、ぜひ一度ハウスメーカーに相談してみてはいかがでしょうか。

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