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屋上のある家とは、平らな屋根の上を、家族が出て使える屋外空間にした住まいです。庭のように外で過ごせる場所を建物の上に持てる一方で、使い続けられるかどうかは「間取りと動線」「住んでからの手入れ」を先に考えておけたかどうかで変わります。
この記事では、屋上をつくれる土地と構造、使い続けられる間取り、建てるときと住んでからの費用、後悔の声が多い点と判断の基準、そして建売住宅・注文住宅で屋上付きの家を選ぶときの確認リストを、順を追ってご紹介します。

- 屋上のある家とは|屋上への出入りの4つの形
- どんな土地・構造なら屋上をつくれるか
- 使い続けられる間取りと動線
- 建てるとき・住んでからの費用
- 後悔しやすい5つと、判断の基準
- 屋上付きの家を選ぶときの確認リスト
- 中古の屋上のある家を検討するとき
- よくある質問
1. 屋上のある家とは|屋上への出入りの4つの形
屋上のある家は、建物のいちばん上を平らな屋根(陸屋根)にし、防水と手すりを備えて人が出られるようにした住まいです。屋上そのもののつくりや法律の決まりは、屋上テラスのコラムで詳しくご紹介しています。ここでは、住まい全体として選ぶときに大切な「屋上への出入りのしかた」から見ていきます。
| 出入りの形 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 屋上全体を使う+塔屋 | 屋上を広く使え、塔屋(階段室)から雨の日も濡れずに出入りできる | 屋上で過ごす時間を長く取りたい人 |
| 屋上の一部を使う+塔屋 | 使う範囲を絞るぶん、手入れする面積が小さくなる | 使い方が決まっていて、手入れの負担を抑えたい人 |
| 外階段で上がる | 室内の間取りに影響が少ない | 屋上を庭の延長として使いたい人 |
| 上の階の部屋から直接出る | 塔屋を設けず、部屋と屋外がつながる | 高さ制限などで塔屋を置きにくい土地 |
どの形でも、屋上に出るまでの「ひと手間」が少ないほど、屋上を使う回数は増えやすくなります。間取りを考えるときは、屋上を何に使うかとあわせて、どこから、どのくらいの距離で出られるかを確かめておくことが大切です。
2. どんな土地・構造なら屋上をつくれるか
屋上をつくるには、平らな屋根にできることが前提です。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のどの構造でも屋上はつくれますが、それぞれ防水のしかたや、屋上に置けるものの重さの考え方が異なります。木造の場合は、防水と排水をしっかり設け、重いものを置く予定を設計の段階で伝えておくことが大切です。
| 構造 | 屋上の特徴 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 木造 | 戸建て住宅で多い構造。屋上もつくれる | 防水の工法と保証、排水口の数、重いものを置く予定 |
| 鉄骨造 | 柱や梁が鉄骨で、広い空間をとりやすい | 防水の工法と保証、手すりの取り付け方 |
| 鉄筋コンクリート造 | 床が厚く丈夫で、屋上に重いものを置きやすい | 防水の工法と保証、断熱のしかた |
どの構造でも、屋上の満足度を左右するのは「防水と排水」「手すり」「真下の部屋の断熱」です。構造の違いより、この3つがきちんと考えられているかを確かめることが大切です。
2階建て+塔屋と、3階建ての違い
| 比べる点 | 2階建て+塔屋の屋上 | 3階建ての屋上 |
|---|---|---|
| 階数の扱い | 塔屋(階段室など)は、水平投影面積が建築面積の8分の1以下なら階数に入らない扱いになる場合がある(建築基準法施行令2条1項8号、扱いは建築確認で判断) | 3階建てとして扱われる |
| 手すりの決まり | 施行令126条の1.1m以上の手すりの規定が直接かからない場合がある。1.1m以上を目安にすると安心 | 1.1m以上の手すり壁などが必要(施行令126条1項・117条1項) |
| 高さの制限 | 塔屋の大きさによっては高さに入らない場合がある(施行令2条1項6号ロ) | 建物の高さが上がるため、高さの制限の影響を受けやすい |
| 屋上までの距離 | 2階から1層上がるだけ | 3階から上がるため、1階との行き来が長くなる |
出典:建築基準法施行令(e-Gov法令検索)。北側斜線や、北側の高さ制限がある高度地区などでは、塔屋も高さに入ります。実際の扱いは建物ごとに建築確認で判断されます。
屋上をつくれるかどうかは、土地の高さ制限や日影の規制にも左右されます。土地を探す段階で「この土地に屋上と塔屋を置けるか」を確かめておくと、あとから計画を変えずに済みます。
3. 使い続けられる間取りと動線
屋上を長く使い続けている家では、屋上が「特別な日の場所」ではなく「ふだんの暮らしの続き」になっています。そのために大切なのが、リビングやキッチン、洗濯機の位置と、屋上との距離です。
| 間取りの例 | 屋上までの動き | 使い続けるためのポイント |
|---|---|---|
| 1階リビング+屋上 | 食事や飲み物を持って2階分上がる | 屋上に水栓や小さな収納を用意し、運ぶ物を減らす |
| 2階リビング+屋上 | キッチンから1層上がるだけ | リビングの近くに屋上への階段を置くと、食事や遊びに使いやすい |
| 上の階に洗濯機+屋上 | 洗濯物を持って短い距離で上がれる | 物干しの金物と、雨の日の干し場所もあわせて考える |
| 外階段で上がる | 庭や玄関から直接上がる | 雨の日の出入りと、階段の手すり・照明を確かめる |
屋上で使う道具(椅子、テーブル、バーベキューの道具、掃除用具など)をしまう場所も、使い続けるための大切な条件です。塔屋の一角や階段の近くに収納があると、準備と片づけが楽になります。間取りで後悔しないための考え方は、屋上テラスの間取りで後悔しない3つの基準でも詳しくご紹介しています。
4. 建てるとき・住んでからの費用
屋上のある家の費用は、建てるときにかかる費用と、住んでから続く手入れの費用に分けて考えます。建てるときは、防水、手すりや立ち上がり壁、排水、塔屋と階段、水栓やコンセントなどが加わります。住んでからは、点検や表面の塗り替え、防水のやり直しが続きます。
| 時期 | 主な手入れ | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 日ごろ | 排水口の掃除、床の掃除 | ご自身で行えます |
| 定期点検のとき | 防水面・排水口・手すりの根元の点検 | 工法・面積・日当たりで変わるため、建てる会社・販売会社に点検と保証の計画とあわせて確認 |
| 表面の傷みが出てきたころ | 表面を守る仕上げ(トップコート)の塗り替え | |
| 防水の寿命が近づいたころ | 防水のやり直し |
手入れの時期と費用は、防水の工法や日当たり、使い方によって変わります。住まいを選ぶときは、金額だけでなく、点検の計画と保証の条件がそろっているかを確かめておくと安心です。
また、新築住宅の屋根は、住宅の品質確保の促進等に関する法律で「雨水の浸入を防止する部分」とされ、売主や施工会社は引き渡しから10年間、欠陥に対する責任を負います(同法94条・95条、同法施行令5条2項)。年月がたって傷んでいく経年劣化は対象外のため、法律の10年と、会社ごとの防水の保証や点検は分けて確かめましょう。費用の考え方は屋上テラスの費用はいくら?、手入れの方法は屋上メンテナンスの費用・方法でもご紹介しています。
5. 後悔しやすい5つと、判断の基準
屋上のある家について「後悔した」という声でよく挙がるのは、次の5つです。どれも、建てる前・買う前に確かめておくことで防ぎやすくなります。
| よく挙がる声 | 主な原因 | 決める前に確かめたいこと |
|---|---|---|
| 使わなくなった | 屋上までの動線が長い、夏の暑さや虫、風 | リビングや洗濯機からの距離、日よけの下地、水栓 |
| 手入れの費用がかかる | 点検や塗り替え、防水のやり直し | 点検の計画、保証の年数と条件 |
| 雨漏りが心配 | 排水口の詰まり、防水の傷み | 排水口の数と位置、あふれ対策、保証の範囲 |
| 真下の部屋が暑い | 屋根からの熱 | 屋根の断熱のしかた、日よけ |
| まわりの目や音が気になる | 近隣との距離、バーベキューの煙や声 | 立ち上がり壁の高さ、使う時間帯の決め方 |
暑さ・虫・風への備え
「使わなくなった」理由としてよく挙がるのが、夏の暑さです。屋上は日差しをさえぎるものが少なく、床や手すりが熱くなりやすいため、シェードやオーニングを付けられる下地を用意しておくと、使える時間が広がります。夏は朝や夕方、春や秋は日中など、季節ごとに過ごしやすい時間帯を知っておくのもおすすめです。
虫が気になる場合は、照明の色や位置を工夫したり、水たまりができないよう排水口の掃除を習慣にしたりすると、集まりにくくなります。風の強い日は、軽い家具や鉢が飛ばされないよう片づけておきましょう。立ち上がり壁の高さは、まわりの視線だけでなく、風よけとしての役割もあります。
判断の基準は、「何に、どのくらいの頻度で使うか」を家族で具体的に話しておくことです。使い方が決まると、必要な設備や動線、手入れの計画が見えてきます。後悔しないための判断ポイントは、屋上を5年後に後悔しないための判断基準や屋上テラスで後悔する人・しない人でも詳しくご紹介しています。
6. 屋上付きの家を選ぶときの確認リスト
建売住宅でも注文住宅でも、屋上付きの家を選ぶときは、次の10項目を確かめておくと安心です。内見や打ち合わせのときに、このリストを手元に置いてお使いください。
- 防水の保証の範囲と年数、10年を数え始める日
- 防水の工法
- 点検の時期と内容、塗り替えの計画
- 排水口の数と位置、水があふれたときの逃げ道
- 手すりや立ち上がり壁の高さ、すき間の大きさ
- 水栓とコンセントの位置
- 塔屋の扉の大きさ(家具や道具を運べるか)
- 日よけを留める下地があるか
- 真下の部屋の断熱のしかた
- 屋上までの階段の勾配と手すり
7. 中古の屋上のある家を検討するとき
中古住宅で屋上のある家を探す場合は、新築以上に「これまでの手入れの記録」が大切になります。屋上の防水は、年月とともに少しずつ傷んでいくためです。購入前に、次の点を売主や仲介会社に確かめておくと安心です。
- これまでの点検の記録と、防水のやり直しや塗り替えをした時期
- 雨漏りの履歴と、そのときの補修の内容
- 防水の保証が残っているか、引き継げるか
- 真下の部屋の天井に、しみや変色がないか
- 排水口や手すりの根元に、傷みやさびがないか
記録がそろっていない場合は、専門家による建物の状況の調査を依頼して、屋上の状態を確かめてから判断するのがおすすめです。防水のやり直しが近い場合は、その費用も購入の予算に含めて考えておきましょう。
8. よくある質問
- 屋上をつけると、建築費はどのくらい上がりますか?
- 屋上の広さ、防水の工法、塔屋を設けるかどうかで大きく変わります。比べるときは、金額だけでなく、どの範囲の工事が含まれているかと、住んでからの点検の計画をそろえて見ることが大切です。
- 屋上のある家は、固定資産税が上がりますか?
- 屋根がなく外気に開いた屋上は、一般に床面積には入りません。ただし、固定資産税の家屋の評価は床面積だけで決まるものではなく、屋根や塔屋などの部分ごとに自治体が評価します。気になる場合は、お住まいの自治体に確かめておくと安心です。
- 2階建てと3階建て、屋上をつくるならどちらが向いていますか?
- 2階建ての屋上は1階との行き来が短く、ふだん使いしやすいのが特長です。3階建ての屋上は眺めがよい一方、手すりなどの決まりがかかり、高さの制限の影響も受けやすくなります。土地の条件と使い方で選ぶのがおすすめです。
- 屋上から雨漏りしたら保証されますか?
- 新築住宅の屋根は、引き渡しから10年間、法律で欠陥に対する責任の対象になります。経年劣化は対象外のため、会社ごとの防水の保証と点検の内容もあわせて確かめておきましょう。
- 屋上でバーベキューをしても大丈夫ですか?
- 楽しめますが、煙やにおい、声が近隣に届かないよう、時間帯や風向きに気を配ることが大切です。床を傷めないよう、燃えにくい敷物を使い、火の後始末も確実に行いましょう。気をつけたい点は屋上バーベキューの近隣トラブルを防ぐ記事でもご紹介しています。
まとめ
屋上のある家は、限られた敷地でも、家族だけの外の時間を持てる住まいです。満足して使い続けるための鍵は、屋上への出入りの形と動線、そして住んでからの手入れの計画にあります。
何に、どのくらい使うかを家族で話し、確認リストで住まいを比べてみてください。実際の住まいをご覧になりたい方は、エリアごとの物件情報や見学会・イベント情報もぜひご活用ください。