屋上テラスで雲をゆったり眺める
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屋上から見える雲ーー。
屋上に周りを遮るものはありません。そこから一望できる景色といえば、青い空と太陽、そしてプカプカと浮かぶ雲たちです。私たちの頭上には、いつだって雲がありますが、その種類を知っている方は意外にも少ないです。
今回は「屋上と雲」と題して、屋上から見える雲の種類について解説します。屋上に出てゆったりと雲を楽しむ、そんな時間を味わうためにも、ちょっとした知識を身につけましょう。
1.雲との出会いは一期一会
屋上は、雲を観察できる絶好の場所です。そこに雲を遮るものはありません。だれの目も気にせず、じっくりと鑑賞できます。
私たちが普段目にする雲は、常に一期一会です。雲は一度たりとも同じ形にはなりません。ふいに空を見上げたときの雲とは、もう二度と会えないのです。
だからこそ、雲の変化や移ろいを楽しむために、雲の知識を身につけておきましょう。雲の種類や特徴を理解すれば、一期一会をより楽しめます。
・雲ってなんだろう?
雲とは、大気中に固まって浮かぶ「水滴」や「氷粒」のこと。地球以外にも、惑星の表面に浮かぶ水滴や氷粒は雲にカウントされます。また地上が雲に覆われている場合は、「雲」ではなく「霧」と呼ぶので覚えておきましょう。
昔は雲をもとに気象予測が行われていました。これを「雲学」と呼びます。現在は、気象衛星による解析が進化した背景もあり、雲を利用した予測はほとんど行われていません。
ただ、雲の種類によって、「雨が降りそう」「雷になりやすい」「天気が良くなる」といった予測は可能です。そこで、知っておきたいのが「十種雲形」と呼ばれる分類です。
・雲を楽しむための十種雲形
日本には、雲の特徴をなぞらえた「〇〇雲」という言葉が豊富にあります。例えば、「いわし雲」や「入道雲」、「雨雲」などは有名ですよね。実は、こうした雲はすべて「十種雲形」と呼ばれる分類にあたります。
十種雲形とは、世界気象機関が策定した10種類の雲のこと。これらの雲は、一定の基準で分類されています。
十種雲形を分ける基準のひとつが高さです。5〜13kmを「上層雲」、2〜7kmを「中層雲」、地面付近から2kmを「下層雲」と呼びます。また、高さのほかにも、「形」や「降水の有無」も基準です。
この十種雲形を覚えておくと、屋上で雲を楽しめます。それでは、雲の特徴とともに十種雲形を覚えていきましょう。
2.屋上で十種雲形を楽しむ 上層雲編
・巻雲(けんうん):「すじ雲」「はね雲」「しらす雲」
・巻積雲(けんせきうん):「うろこ雲」「いわし雲」
・巻層雲(けんそううん):「うす雲」
上層雲は、5〜13kmの高さによく現れる雲で、「巻」という文字が含まれる名称が多いです。基本的に氷の粒でできています。
・巻雲(けんうん)
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巻雲は、別名「すじ雲」「はね雲」「しらす雲」と呼ばれており、繊維状に細く散らばった見た目が特徴的です。また、絹のような光沢を持っていることから、「きぬ雲」と呼ばれることもあります。
巻雲は、変化の早い雲なので、多種多様な形をしています。屋上で多彩な変化を楽しむのに適した雲です。
・巻積雲(けんせきうん)
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巻積雲は、別名「うろこ雲」「いわし雲」と呼ばれており、小さな雲群れをなした、さざ波状の見た目が特徴的です。
巻積雲は、春や秋に見られることが多く、朝焼けや夕焼けなどシチュエーションによって見え方が変わります。朝焼け・夕焼けどちらも綺麗なので、早朝または夕方頃に屋上へ行き、巻積雲の美しさを堪能しましょう。
ただし、この雲が出現すると天気が下り坂になりやすいです。その日に出かける方にとっては残念な雲といえます。
・巻層雲(けんそううん)
巻層雲は、別名「うす雲」と呼ばれており、陰影のない薄いベールのような雲が特徴的です。太陽や月にかかると、写真のようにリング状の光ができる、「日暈(ひがさ)」「月暈(つきがさ)」と呼ばれる現象が起きます。(一度は見たことがありますよね)
巻層雲がある場合、天気は確実に下り坂になり、翌日は雨になることがほとんどです。基本的に低気圧や前線が近くづくと現れ、天候悪化の前兆とされています。休日前に見かけると少しテンションが下がる雲ですね。
3. 屋上で十種雲形を楽しむ 中層雲編
・高積雲(こうせきうん):「ひつじ雲」「むら雲」
・高層雲(こうそううん):「おぼろ雲」
・乱層雲(らんそううん):「雨雲」
中層雲は、2〜7kmの高さによく現れる雲で、「高」という文字が含まれる名称が多いです。基本的に水の粒でできています。
・高積雲(こうせきうん)
高積雲は、別名「ひつじ雲」「むら雲」と呼ばれており、小さな塊が群れをなした陰のある雲が特徴的です。先ほど紹介した「巻積雲」に近い見た目ですが、それよりもひとつひとつの雲が大きいです。
こちらも写真のような朝焼け・夕焼けの際に見ると、思わず見惚れてしまう美しさを持っています。余裕のある休みの朝にじっくりと見たい雲ですね。
・高層雲(こうそううん)
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高積雲は、別名「おぼろ雲」と呼ばれており、灰色で空を覆うような層状の雲が特徴的です。先ほど紹介した巻層雲に似ていますが、こちらは「日暈(ひがさ)」「月暈(つきがさ)」が生じません。
また高積雲は厚い層状の雲のため、太陽や月にかぶると隠れてしまいます。ただ、一部の雲から太陽や月が見られる場合があります。いわゆる「朧月」が起きるのは、高積雲とかぶったケースが多いです。
・乱層雲(らんそううん)
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乱層雲は、別名「雨雲」と呼ばれており、濃い灰色の厚い雲が空を覆うのが特徴的です。雲を見て「あ、なんか雨が降りそう……」と思ったときは大体乱層雲です。
乱層雲の下には「ちぎれ雲」と呼ばれる雲の断片があることが多く、この場合より悪天候になりやすいといわれています。乱層雲を見つけたら、ちぎれ雲がないか確認して、その後の予定を立てましょう。
4. 屋上で十種雲形を楽しむ 下層雲編
・層積雲(けんせきうん):「うね雲」「くもり雲」
・層雲(そううん):「きり雲」
・積乱雲(せきらんうん):「入道雲」「雷雲」
・積雲(せきうん):「わた雲」
下層雲は、地面から2kmによく現れる雲で、「層」という文字が含まれる名称が多いです。
・層積雲(けんせきうん)
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層積雲は、別名「うね雲」「くもり雲」と呼ばれており、大きな塊の群れで白や灰色になっている層状の雲が特徴的です。また、雲の形や色のバリエーションが豊富な雲といえます。
天候によっては、層積雲のスキマから光の筋が差し込む場合があり、インスタ映え確実な雲です。
・層雲(そううん)
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層雲は、別名「きり雲」と呼ばれており、層状の雲が不規則にちぎれているような見た目が特徴的です。もっとも低い部分にある雲なので、よく山にかかっている様子が見られます。低い山ならほとんどが層雲で覆われていることも少なくないです。
・積乱雲(せきらんうん)
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積乱雲は、別名「入道雲」「雷雲」と呼ばれており、垂直に発達した塔のような雲が特徴的です。夏によく見る雲で、十種雲形の中でも特に有名な雲といえます。
積乱雲が見えると、雷や雹(ひょう)、突風が起こりやすいです。夕立が起こる前に見かける雲としても知られています。
・積雲(せきうん)
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積雲は、別名「わた雲」と呼ばれており、垂直に発達した離ればなれの厚い雲が特徴的です。一般的に雲といえば、このわた雲を想像する方は多いはず。
積雲にはさまざまな形が存在するため、雲の形を何かに連想する際は積雲であることが多いです。また積雲は、好天を示す雲なので、屋上で見かけたらその日のお出かけは安心です。
まとめ
今回は「屋上と雲」を紹介しました。
屋上に出ると真っ先に目に入るのが、広大な空と太陽、そして雲です。私たちは日常的に雲を見ていますが、実際に名称をいえる方は少ないです。この機会に雲の名称を覚えて、屋上で新たな楽しみを見つけましょう