ツバメの巣立ちを見守ろう|1年のサイクルと私たちにできることを解説

コラム

春はツバメが巣作りをする季節。しかし、ツバメの巣は人の手によって壊されてしまうことも少なくありません。

ツバメが安全に巣立つまでに私たちにできることはあるのでしょうか。また、自宅に巣ができた場合、どう対応したら良いでしょう。

今回はツバメの1年のサイクルや巣立つまでに私たちにできることを解説します。

鳥獣保護管理法で守られるツバメ

日本では、ツバメをはじめとする野鳥が「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(略称:鳥獣保護管理法)で守られています。

そのため、自治体の許可無しにツバメの巣を勝手に壊すなどの行為は違法となります。もし違反した場合は、1年以下の懲役あるいは100万円以下の罰金を払わなければなりません。

ツバメの1年のサイクル

ツバメは北半球の広い範囲に生息し、春になると南国から日本にやってくる渡り鳥です。ここでは、ツバメの1年のサイクルを解説します。

巣作りを始めるのは3月頃
ツバメが巣作りを始めるのは3月頃です。オスとメスで協力し、泥と枯れ草に唾液を混ぜて固め、お椀型の巣を作っていきます。

巣は民家や商店の軒下など、あえて人通りの多い場所に作ります。理由は卵や雛をカラスなどに食べられないようにするためです。

また、一度作った巣を翌年に再利用することもあるため、巣は壊さないようにしましょう。

卵を産むのは4〜5月頃
ツバメが卵を産むのは4〜5月頃です。1日に1個ずつ、平均で3〜7個の卵を産みます。

メスが産卵後、2週間ほど卵を温めることで雛が誕生します。雛への餌付けは親鳥が交代で行い、主に昆虫を餌として与えます。

親鳥が餌を探しに行っている間、雛は巣の中で待ちますが、たまにカラスなどに攻撃され、巣から転落してしまうことも。

転落した雛は、自治体の許可を得てから、保護という形で飼育することができます。

見かけた場合には、一先ず自治体に連絡し、雛を助けてあげましょう。

雛の巣立ちは6月頃
一般的に雛の巣立ちは、6月頃です。しかし、巣立ったものの自分で餌をとれないケースも多く、1週間前後は親鳥から餌をもらう雛もいます。

ちなみに巣立つ段階まで生き残れる雛の割合は50%程度です。理由は、カラスなどの野鳥に食べられてしまうことや、オスの親鳥が自分の子でないことを疑い、故意に殺してしまうからです。

雛が巣立った後、ツバメは2回目の繁殖をすることがあり、夏までには全ての雛が巣立つとされています。

南国へ渡るのは9月頃
ツバメが繁殖活動を終え、南国へ渡るのは9月頃です。主にフィリピンや台湾といった東南アジアへ数千km距離を渡って旅をします。

南国へ渡る理由として、日本の冬は寒く、餌となる昆虫が少なくなるからとも考えられています。

そしてまた次の3月頃に親鳥が、前回巣作りしたところで待ち合わせをするサイクルです。

地域ごとに変わるツバメの種類

日本に渡ってくるツバメは、地域ごとに種類が変わります。どんなツバメがいるのか見ていきましょう。

全国|コシアカツバメ・イワツバメ
全国に生息するのが、コシアカツバメとイワツバメです。コシアカツバメは、全長約20cmでお腹が淡色のまだら模様、腰が赤いのが特徴。民家の軒下などに巣を作ります。

一方、イワツバメは、全長13cmで小さめ。お腹が白く、全体は黒色で、尾羽の切れ込みが浅いのが特徴。ビルや集合住宅の軒下などに巣を作ります。

北海道|ショウドウツバメ
北海道にやってくるのが、ショウドウツバメです。全長約13cmでお腹は白く、胸部分に茶色のT字模様があり、背面は茶色の体毛が特徴。

水辺や農耕地、草原などに住み、崖や土手に数十個から数百個の横穴を開けて、集団で巣を作ります。横穴の奥行きは深いもので1mにもなるといわれています。

関東から九州|ヒメアマツバメ
関東から九州にかけてやってくるのが、ヒメアマツバメです。全長約12cmで、喉と腰部分は白く、背面は黒みの帯びた体毛が特徴。

コシアカツバメやイワツバメがもともと使っていた巣を再利用し、巣の入り口に、自分の羽毛を付ける習性があります。

また、極端に足が小さいため、地面に降りることはほぼなく、空中で食事や睡眠などを行います。

琉球諸島・奄美諸島|リュウキュウツバメ
琉球諸島・奄美諸島に生息しているのが、リュウキュウツバメです。日本で越冬するため、1年中目にすることができます。

全長約13cmでお腹は灰色がかった白色、喉からくちばしまでオレンジ、全体的には黒っぽい体毛で、尾羽の付け根にうろこ状の模様があるのが特徴。

民家や商店の軒下などにお椀型の巣を作ります。

ツバメの巣立ちを見守るためにできること

もしかしたら、近所もしくは自宅にツバメの巣が作られることがあるかもしれません。そんな時に備えて、ツバメの巣立ちを見守るためにできることを2つ紹介します。

カラスなど、他の鳥から守る
1つ目はカラスなど、他の鳥から守ることです。特にカラスは卵や雛を狙って巣を下から蹴り落として襲撃してきます。

そのため、巣の下にカラス除けとして釣り糸などを張る方法が効果的です。カラスの侵入を防げるよう、ツバメが通れるだけの隙間を空けて張ります。

仕掛けるタイミングは、抱卵が始まった時です。雛が羽ばたきの練習をしている時は驚いてしまうため、避けましょう。  

時期を見てフン受けを設置する
2つ目は時期を見てフン受けを設置することです。フンが落ちて汚いなどの理由で、ツバメの巣を壊してしまう人がいるため、あらかじめ対策をとれば巣を守ることができます。

巣の下の地面に、新聞紙を中に敷いた段ボールを置くだけでOK。巣作り中や抱卵中は、親鳥の警戒心が強いため、雛が産まれたタイミングで設置するようにしましょう。

屋上テラスにツバメの巣ができたら温かく見守ろう

ツバメは近年、減少しつつあり、その理由には自然環境の変化や巣作りできる場所の減少などがあげられます。

ツバメを守るためには、私たちがツバメの特徴を理解し、見守ることが重要です。

屋上テラスにツバメの巣ができたら、カラス除けやフン受けを設置するなどして対応し、ツバメの巣立ちを温かく見守りましょう。

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