階段に手すりは必要?選ぶ際のポイントとDIY・補助金制度も解説
階段の手すりの設置は法律で定められています。また、階段は家庭内事故が頻発する場所のため、家族の安全を守る意味でも設置の意義があります。
手すりは家族構成や使用目的に合わせて選びましょう。手すりの重要性と選ぶ際のポイント、DIYや補助金制度に関するQ&Aを紹介します。
階段の手すりが必要な2つの理由
2階建て以上の住宅を建てる場合、法律の順守と安全面の観点から階段の手すりの設置が必須です。それぞれ詳しく紹介します。
1.法律で定められている
建築物に関する法律である建築基準法において、階段の手すりの設置は以下のように義務付けられています。
(階段等の手すり等)
第二十五条 階段には、手すりを設けなければならない。
2 階段及びその踊場の両側(手すりが設けられた側を除く。)には、側壁又はこれに代わるものを設けなければならない。
3 階段の幅が三メートルをこえる場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが十五センチメートル以下で、かつ、踏面が三十センチメートル以上のものにあつては、この限りでない。
4 前三項の規定は、高さ一メートル以下の階段の部分には、適用しない。※出典:建築基準法|e-gov法令検索
条文の要点は以下の3つです。
1. 階段の両側に手すり、または側壁を設ける。
2. 床からの高さが1メートル以内の部分には手すりの設置は不要。
3. 階段の横幅が3メートルを超える場合は、中間地点に手すりを設ける。
3に関しては一般的な住宅には該当しづらいため、家づくりの際は1と2を特に意識しましょう。
2.安全性の観点から
手すりの設置が義務付けられているのは、階段からの落下事故を回避するためです。政府が発表している人口動態統計※を見てみると、2021年は589人が「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」で命を落としています。
この数値には落下事故によるケガ人は含まれないため、危険な目に遭った人はさらに多いでしょう。高齢者に限らず、子どもや妊婦、ケガ人、病人など、どんな人でも階段からの落下事故のリスクはつきものです。法律の順守はもちろんのこと、大切な家族を守るためにも階段の設置は必要です。
※出典:厚生労働省│人口動態統計
階段の手すりを選ぶ際の4つのポイント
一口に階段用の手すりといっても種類は豊富。家族構成や使用の目的、デザイン性などを踏まえた上で選びましょう。
1.形状や太さ
手すりの形状は、主にラウンド型とスクエア型の2種類です。
種類 | 形状/印象 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ラウンド型 | ・丸い ・柔和な印象 | ・握りやすい ・サポート力が高い | ・手が滑りやすい ・握力が弱いと体を支えにくい |
スクエア型 | ・平ら ・スタイリッシュな印象 | ・手が滑りにくい ・インテリア性が高い | ・強く握ると痛い ・サポート力は劣る |
介護が必要な人がいる、または誰でも使いやすい手すりが良い場合は握りやすいラウンド型、見た目にこだわりたいならスクエア型など、何を重視すべきか考えてみましょう。
手すりの太さは32ミリと35ミリが主流です。握力が弱い人がいる場合は細めの32ミリが、しっかり握って体を支えたい場合は35ミリが適しています。
2.素材
手すりの素材は以下のような種類があります。
種類 | 特徴/印象 | 主な設置場所 |
---|---|---|
木材 | ・手になじみやすい ・あたたかな印象 | 屋内 |
アルミ/ステンレス | ・軽量でサビにくい ・クールな印象 | 屋内 |
樹脂 | ・手が滑りにくい ・ナチュラルな印象 | 屋内 |
アイアン | ・強度と耐久性に優れる ・おしゃれな印象 | 屋外 |
その他、木材やアルミ、ステンレス素材を樹脂で覆ったものもあり、好みに合わせて選べます。
3.色
階段の手すりはインテリアの一部。階段や壁、周囲の家具になじむ色を選ぶことも大切です。ベーシックなのはベージュやブラウンですが、黒や白にして明度差をつけるのも良いでしょう。
4.機能性
階段の手すりは時間帯を問わず家族みんなが使うため、機能面にもこだわりたいところ。手すりの下部にライトが付いているものであれば、夜でも手元が照らされて安心です。衛生面を重視したい場合は、抗菌・抗ウイルス機能のある手すりを選んでみてはいかがでしょうか。
階段の手すりで気になるQ&A【DIY/補助金】
手すりの設置を考えたとき、多くの人が気になるのが費用面です。できる限り安価に設置したい人に向けて、DIYと補助金に関するQ&Aを紹介します。
階段の手すりはDIYで取り付けできる?
手すりセットとドライバー、下地探しなどの工具さえ揃えれば、DIYでの設置は可能です。必要なものはホームセンターや通販で、安いものだと数千円程度で購入できます。業者に頼む一般的な取り付け費用は5~15万円程度のため、DIYだと設置費用を抑えられます。
しかし、手すりは安全性を高めるために設置するもの。万が一、使っている最中に外れてしまうと落下事故につながるため、業者に依頼した方が安心です。
手すりの取り付けに使える補助金はある?
介護目的で階段に手すりを設置する場合は、介護保険や自治体の補助金制度を利用できる可能性があります。
<介護保険>
対象となるのは、要支援・要介護認定を受けた人がいる家庭です。支給限度基準額は20万円で、9割の18万円が支給の限度額とされます。支給条件がいくつかあるので、該当する場合はケアマネジャーに相談してみましょう。
<自治体>
高齢者の住宅リフォームに関する補助金制度を設けている自治体も多くあります。制度の名称や対象、支給額は自治体によって異なりますので、「階段 手すり 補助金 〇〇市」と検索してみてはいかがでしょうか。
階段に手すりを設置して家族の安全を守ろう
階段の手すりは家族の安全を守る大切なパーツ。法律を遵守した上で、家族が使いやすい太さ・形状のものを選びましょう。素材や色にこだわるとインテリア性が高まります。
手すりの選び方や設置に悩む場合は、その道のプロであるハウスメーカーに相談するのもおすすめです。長年の経験に基づいたアドバイスは、きっと家づくりに役立ちます。