家を買うには全額ローン?頭金あり?年収・現在の家賃別の借入可能額を紹介

コラム

家の購入を考えた時に悩ましいのが、「全額ローンと頭金を貯めてからの購入はどちらが良いのか?」という点。ローンとは長年の付き合いになるため、契約前によく考えておくことが大切です。

今回はローンの借入可能額の目安を始め、全額ローンと頭金ありのどちらが良いのか判断する基準、全額ローンのメリット・デメリットを紹介します。

家のローンを組むのに年収はいくら必要?

住宅ローンは契約前に審査があり、年齢や健康状態、年収、勤続年数、債務状況など多角的な視点から判断されます。

借入可能額が確定するのは審査後です。そのため「住宅ローンを組むために必要な年収」には個人差があり、一概には言えません。

しかし「年収の何倍程度の住宅を購入できるのか」という目安はわかります。ここで、住宅金融支援機構が公表している「2021年度フラット35利用者調査」を見てみましょう。

住宅の種類所要資金世帯年収自己資金(割合)年収倍率
土地付き注文住宅4,455万円639万円412.3万円7.5倍
新築マンション4,528万円788万円785.9万円7.2倍
建売住宅3,605万円563万円270万円7.0倍
注文住宅3,572万円602万円596.6万円6.8倍
中古マンション3,026万円608万円418.9万円5.8倍
中古戸建2,614万円508万円214.9万円5.7倍

上記の数字は平均値ではありますが、住宅購入費の目安は新築住宅が年収の7倍、中古住宅が年収の6倍近くと想定できます。

参照:住宅金融支援機構 2021年度 フラット35利用者調査

【一覧表】年収・家賃別│ローンの借入可能額の目安

借入可能額は個人差があるものの、ある程度の目安を把握することは可能です。借入可能額の目安を、年収と現在の家賃別に紹介します。

年収別│借入可能額の目安
借入可能額を知りたい時は返済負担率が役立ちます。返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額が占める割合のこと。数値が高いほど1年間の返済額が多いことを表します。

家計を圧迫せず、無理なく返済できる目安は25%以下とされます。以下の表は返済負担率が25%、金利が1.7%、35年返済ローンを組む際の借入可能額の目安を示したものです。

年収借入額の目安
300万円1970万円
400万円2630万円
500万円3290万円
600万円3950万円
700万円4610万円

参照:SUUMO 年収でわかるローンの目安と「買える金額」

現在の家賃別│借入可能額の目安
住宅ローンは何十年と支払い続けるのが一般的のため、確実に返済できる金額を基準に借入額を考えることも必要です。賃貸住宅に住んでいる場合は、毎月の家賃と同等額であれば無理なく返済できるでしょう。

金利が1.7%の35年返済ローンを組む際、家賃を基にした借入可能額の目安は次のとおりです。

現在の家賃毎月返済額が家賃と同じ場合
7万円2210万円
8万円2530万円
9万円2840万円
10万円3160万円
11万円3480万円
12万円3790万円
13万円4110万円
14万円4420万円
15万円4740万円

参照:SUUMO 年収でわかるローンの目安と「買える金額」

家の購入は「全額ローン」「頭金あり」どちらが良い?

昔は購入価格の7~8割までしかローンを組めない時代もありました。しかし、今では全額(フル)ローンに対応している銀行も出てきています。

では、今すぐ全額ローンで購入するのと、頭金を貯めてから購入するのでは、どちらが良いのでしょうか。さまざまな観点から両者を比較していきましょう。

「全額ローン」と「頭金あり」の基本的な比較
まずは毎月の返済額と返済総額、利息総額を比較していきます。例に挙げるのは「頭金なしで全額ローンを組んで購入する」「5年後に頭金300万円ありでローンを組む」の2パターンです。

頭金0円300万円
借入額3,000万円2,700万円
金利1.3%1.3%
返済期間30年30年
毎月の返済額100,681円90,613円
返済総額36,245,142円32,620,594円
利息総額6,245,142円5,620,594円

このように、毎月の返済額と返済総額、利息総額は「頭金あり」の方が安くなります。しかし、頭金を貯める間の居住費がかかることを忘れてはいけません。

参照:タマルWeb 住宅ローン「頭金なしで今」か「5年後に頭金ありで購入」どっちが正解?

頭金を貯めるまでの家賃を含めた比較
頭金を貯めるまでの間、賃貸物件に住む場合は家賃が発生します。例えば、家賃が月10万円の物件に5年間住んだ場合は600万円の支出です。

この600万円を先ほどの比較表に当てはめてみると、5,620,594円(利息総額)+6,000,000円(家賃)=11,620,594円となり、頭金なしの利息総額6,245,142円より5,375,452円も支出が増える計算になります。

このように、単純な計算だと頭金ありの方が安く感じられますが、家賃を含めると全額ローンの方が安い場合もあるので、よく考えることが大切です。

【注意】頭金を貯めている間に金利が上昇するリスク
「今すぐ全額ローン」と「数年後に頭金あり」を比較する場合は、住宅ローンの金利も考慮しましょう。ローンの金利が確定するタイミングは、申し込み時点または融資が実行された時点が一般的とされます。

つまり、頭金を貯めている間に金利が上昇するリスクがあるわけです。現在は低金利といわれる状態ですが、今後はインフレの抑制や利上げなどの影響から金利の上昇が予想されています。

金利が下落するのであれば、頭金を貯めてからの購入の方がお得かもしれませんが、今後の予想は難しいものです。ローンを組む際は、毎月の返済額や返済期間、金利、利息総額、家賃など、多角的な視点で考えましょう。

頭金なしでローンを組む4つのメリット

住宅を全額ローンで購入する主なメリットは金銭面にあります。気になるメリットを4つ紹介します。

1. いざという時に使えるお金を残しておける
貯金をすべて頭金に回すのはリスクが高い行為といえます。なぜならば、住宅の購入時には税金や手数料といった諸費用や、家具家電の購入費などもかかるためです。

その他、生活予備費や子どもの学費、車の購入費用なども備えておきたいところです。生活予備費とは、何らかの理由で働けなくなった時に備えるお金のこと。月々にかかる生活費の半年~1年分程度の貯蓄があると安心です。

全額ローンで住宅を購入し、手元にある程度の現金を残しておくと、お金が必要になった場面でも問題なく対応できるでしょう。

2. 好きなタイミングで家を購入できる
全額ローンであれば、頭金が貯まるまで待つ必要がありません。住宅との出会いは一期一会。理想の物件を見つけた時、すぐに購入できる可能性が高まります。

3. 住宅ローン控除の恩恵を受けられる
住宅ローン控除は、年末時点のローン残高が多いほど控除額が高くなります。そのため、頭金を入れるよりも借入額の高い全額ローンの方が控除面の恩恵を受けやすくなります。

4. ローンの返済を定年前に終えられる可能性がある
頭金を貯めず、若いうちに全額ローンを組んで住宅を購入すると、完済時の年齢を下げられる可能性が高まります。

一般的な住宅ローンの借入期間は35年が最長です。定年後も支払いが続くと、ローンを払えない、または生活が圧迫されることも。その弊害は「35年ローンの恐ろしさ」と表現されているほどです。

家の購入を決めた場合は、家賃を払い続けて頭金を貯めるよりも、少しでも若いうちに全額ローンを組むのも一案でしょう。

頭金なしでローンを組む4つのデメリット

全額ローンには金銭面でメリットがある一方、知っておきたいデメリットも存在します。審査基準、金利、支払い金額、売却時のリスクの4つを紹介します。

1. ローンの審査基準が厳しくなる
住宅ローンの審査は頭金ありの方が有利だとされます。冒頭で紹介したように、住宅ローンの審査にはさまざまな項目があり、多角的な視点から判断されます。しかし頭金なしが不利に働くと、全額ローンの審査には通りにくくなるかもしれません。

2. 金利が高くなることがある
住宅ローンによっては、頭金の有無によって金利が異なります。金利は返済額を大きく左右するポイントのため、長い目で見ると頭金を用意した方がお得なこともあるでしょう。

3. 毎月の支払いが負担になりやすい
全額ローンは頭金がない分、月々の返済額が増えます。契約した時は問題なく支払えても、病気やケガで働けなくなったり、会社が倒産したりと、何らかの事情で支払いが難しくなることも。

滞納が続くと住宅は競売にかけられ、住み続けることはできません。全額ローンを組む際は、完済時まで無理なく支払える返済額かよく考えましょう。

4. 家の売却額よりもローン残債が上回るリスクがある
全額ローンで購入した家を売りに出す場合は、売却額よりもローン残債の方が高くなることも。この状態は「オーバーローン」といわれ、貯蓄での完済や住み替えローンの利用などによって解消する必要があります。

全額ローンの場合は繰り上げ返済の活用を

頭金を貯めるまでの家賃や金利の上昇リスクなどを考え、全額ローンを組む場合は、繰り上げ返済の活用がおすすめです。

繰り上げ返済をすると返済期間の短縮に加え、利息総額を下げられます。数年短縮できれば、定年後までの支払いを回避できる可能性が高まるでしょう。

家のローンは頭金を貯める期間やライフプランを考慮しよう

家の購入は頭金なしの全額ローンでも可能です。頭金ありと全額ローンでは、返済額や返済総額、利息総額が異なります。今すぐ全額ローンにするか、頭金を貯めてからが良いのか、メリット・デメリットに加えて今後の生活も踏まえて考えましょう。

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