食卓の彩りに。屋上テラスで始める自家製干物作り

和食の定番といえば「干物」です。口の中に運んだ瞬間、フワッと広がるおいしさ……たまりませんよね!
そもそも干物は、昔から保存食として愛されてきました。その歴史は、縄文時代から続いているそうです。日本は世界各国に比べて、乾物(乾燥させた食べ物)の消費量が多く、まさに我が国を代表する料理といえます。
そんな干物を自宅で作ってみたいと考えている方は多いはず。実は、自宅でも簡単に干物を作ることができます。特に、自宅の屋上テラスは天日干しに適した場所です。
今回は、屋上テラスではじめる「干物づくり」をテーマに解説していきます。
1.屋上テラスは干物づくりに適した空間

基本的に干物は、天日乾燥つまり「天日干し」で作られます。天日干しは「太陽の下で直射日光を当て、水分を乾燥させる干し方」です。屋上テラスには、たっぷりの直射日光があるため、自宅の中で天日干しをする場に適しています。
干物と聞くと、「海沿いの日当たりがいい場所」で干しているイメージがありますが、それは間違いです。麻布十番の「干物割烹 あん梅」というお店では、屋上テラスを利用して干物を作っています。ある程度の日光と風通しがあれば、どこでも干物が作れるのです。
今回は、干物に向いている食べ物や作り方、さらにあったら便利なアイテムまで一挙紹介します。コロナ禍で外出できない昨今、自宅でできる趣味として「干物づくり」をはじめてみましょう。
2.干物に向いている食べ物と簡単な作り方
干物といえば魚ですが、実は野菜やフルーツを使っても作れます。ここでは、干物に向いている食べ物と簡単な作り方を解説していきます。
・魚

【アジ/イワシ/サバ/サンマ/カマス/アマダイ/キンメダイなど】
干物には、アジやイワシ、サバ、サンマなどの青魚、カマスやアマダイ、キンメダイなどの白身魚が適しています。
初めて干物づくりに挑戦する方はアジがおすすめです。アジは手に入りやすく、作りやすいので初心者向きです。ここでは、アジの干物の作り方を簡単に解説します。
まずは、アジを「腹開き」でさばきますが、これまで魚を開いた経験のない方にとって難しいです。そこで、スーパーや魚屋さんで購入した際に、「干物用にさばいて欲しい」と頼んでみましょう。
最近では、サービスで魚をさばいてくれるお店が増えています。さばいた経験がない、またはさばくのが苦手な方は、この方法で開いたアジを用意してください。
続いて、1リットルの水に100g程度の塩を入れた「塩水」を用意し、開いたアジをつけます。塩水の塩加減に決まりはないので、なんども作る中で「塩の量」と「つける時間」を調整して、好みの味わいを見つけましょう。
塩水につけて1時間程度経過したら、アジを取り出し洗い流します。その後、キッチンペーパーで水気を拭き取り、ザルなどにのせて天日干ししてください。
干す時間は環境にもよりますが「2〜3時間程度」が目安です。表面を触って乾いていないなら、もう少し時間を増やしましょう。
ちょうどいい乾き加減になったら、アジの干物の完成です。ほかの魚も同じ要領で干物にしていきます。慣れてきたら好みの魚で干物を作ってください。
・野菜

【ナス/タマネギ/シイタケ/ニンジン/サツマイモ/ダイコン/ショウガなど】
干物と聞くと魚を想像しますが、実は野菜の干物「干し野菜」も旨味たっぷりでおいしいです。魚の干物よりも簡単に作れるので、最初は余った野菜を利用してチャレンジしてみましょう。
まず、干し野菜にしたい野菜を洗います。しっかり洗えたら、キッチンペーパーで水気を拭き取ってください。
続いて、乾燥しやすいように、できるだけ野菜を薄切りにします。その後、ザルなどに並べて、天気のいい日に乾燥させるだけです。ただし湿気の多い日は、カビなどのトラブルが起きやすいので避けてください。
干す時間は、野菜の種類や環境にもよりますが「1〜2日程度」が目安です。
完成した干し野菜は、密閉度の高いビンやタッパーなどに入れて保存しましょう。完全に乾燥したものであれば「一ヶ月程度」持ちます。長期間保存した干し野菜を食べる際は、カビなどが生えていないか注意してください。
・フルーツ

【バナナ/リンゴ/レモン/オレンジ/パイナップル/キウイ/レーズンなど】
ドライフルーツの魅力は、ギュッと詰まった甘みや酸味です。フルーツは保存環境によって腐りやすいですが、ドライフルーツにすれば長期間保存しておけます。野菜と同じく、余っているフルーツを使ってチャレンジしましょう。
まず、用意したフルーツを薄く切り、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。その後、ザルなどに並べて天日干しにし、乾燥するのを待ちましょう。
干す時間は、環境やフルーツの種類にもよりますが、「数日から一週間程度」が目安です。フルーツを触ってみて、しっかりと乾燥していれば完成です。
ドライフルーツは、密閉度の高いビンやタッパーなど保存すれば、「数週間から半年程度」持ちます。そのまま食べてもよし、ヨーグルトやグラノーラに入れて味わってもよし。ドライフルーツは、朝食やデザートに活躍する食べ物のひとつです。
3.干物づくりに便利なアイテム
最後に干物づくりに便利なアイテムを紹介します。お皿にのせて干物を作ることも可能ですが、これでは風通しが悪く、なかなか乾燥しません。そこで、「ザル」や「干し網」を用意して、干物づくりをしましょう。
・ザル

干物づくりを簡単に実現したいならザルを用意しましょう。一般的なザルと違って、天日干し用の「干しザル」は、底が浅く面積が大きいです。
安いものであれば数百円、高くでも数千円程度で手に入ります。干物づくりの基本となるので用意しておいてください。
・干し網

屋上テラスで干物を作る際に厄介なのは、魚や野菜、フルーツが鳥や虫などに狙われること。自宅の立地や環境によっては、干物が被害に遭う可能性があります。そんなときに役立つのが「干し網」です。
干し網には、チャックがついているので、こうした外敵から干物を守ってくれます。また上記のような段数の多い商品を選べば、たくさんの干物を同時に干せます。
価格は数百円から数千円程度です。使われている素材やかごの段数によって価格が異なります。まずは、使いやすい3段程度の干し網を用意するといいでしょう。
まとめ
屋上テラスは干物づくりに適した場所です。今回紹介した干物に向いている食べ物と役立つアイテムを用意して、干物づくりにチャレンジしてみましょう。コロナ禍の趣味のひとつとして、干物づくりをはじめてみてください。