長期優良住宅の認定基準とは?項目ごとに解説

コラム

補助金や住宅ローンの控除、減税などの優遇が受けられる長期優良住宅。認定されるには、10項目の基準をクリアしている必要があります。

今回解説するのは、新築戸建ての長期優良住宅の認定基準についてです。申請を検討している人は、マイホームの計画前に確認しておきましょう。

長期優良住宅の基準10項目

長期優良住宅に認定されるには、10個の条件をクリアしなければなりません。今回は、新築戸建ての場合の認定基準を紹介します。

※戸建てに当てはまらない項目に限り、共同住宅・長屋などの基準を記載します。

1.劣化対策
劣化対策のクリア基準は、「数世帯にわたり住宅の構造躯体が使用できること」です。少なくとも100年は継続使用できるのが条件とされています。

<基準>
・劣化対策等級3相当
・床下および小屋裏の点検口を設置
・床下空間330mm以上

劣化対策とは、構造部分の材料において大規模改修を要する期間を延長する対策であり、等級はそのレベルを表します。

等級3の認定条件は、「およそ3世帯(75~90年ほど)まで、大規模改修を必要とするまでの期間を伸長する対策が講じられていること」です。

2.耐震性
・耐震性では、「きわめてまれに発生する地震に対し、継続して住むための改修の容易化を図り、損傷レベルの低減を図ること」と定められています。

<基準>
・耐震等級2以上
・免震建築物

耐震等級とは、地震が起こった際の倒壊・崩壊のしやすさを表したものです。

耐震等級概要
耐震等級1震度6強〜7程度の地震が、100年に1度ほどきても倒壊・崩壊しない。数十年に1度発生する震度⑤程度の地震で損傷しない。
耐震等級2耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる
耐震等級3耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる

免震建築物は、免震装置の上に立てられた建築物をいいます。

3.省エネルギー性
「次世代省エネルギー基準に適合するのに必要な性能を確保していること」とするのは省エネルギー性です。

<基準>
・省エネルギー対策等級4以上(断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6)

省エネルギー対策等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で規定されている評価基準のこと。断熱等性能等級や一次エネルギー(自然界から得られた変換加工しないエネルギー)消費量等級などが関与します。

4.維持管理・更新の容易性
「内装・設備の、清掃・点検・補修・更新といった維持管理を容易に行うのに必要な措置が講じられていること」も、長期優良住宅の認定に欠かせません。

<基準>
・構造躯体に影響を与えず、配管の維持管理を行える
・更新時の工事が軽減される措置が講じられている

100年以上使用する長期優良住宅は、設備や給排水管などの補修・交換が必要になる可能性が高いため、このような項目が設けられています。

5.可変性
可変性で求められているのは、「ライフスタイルの変化に応じて間取りの変更がしやすいこと」です。共同住宅・長屋にのみ該当する項目で、戸建てには適用されません。

<基準>
・天井高が高い(2,650mmが基準)
・給排水の配管・電気の配線がしやすい

6.バリアフリー性
共同住宅では、「将来のバリアフリー改修に対応できること」とするバリアフリー性も見られます。

<基準>
・高齢者配慮等級(共有部分)3 ※手すりの配置・段差の有無などは含まない
・共有の廊下や階段、エレベーターが広い

高齢者配慮等級とは、高齢者および心身障害者に配慮されているかを表す評価基準です。

7.居住環境
居住環境の内容は、「周囲の良好な景観形成に配慮されていること」です。所管行政庁によって審査基準が異なりますが、一般的には以下のような点を見ます。

<基準>
・地域の景観ルールに従っている
・街並みと調和している
・所管行政庁が定めた地区計画・景観計画・建築協定などに従っている

8.住戸面積
「良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること」も、長期優良住宅に認定されるために必要な条件です。

<基準>
・戸建ての場合:75平米以上
・共同住宅の場合:55平米以上
・少なくとも1つの階は床面積40平米以上 ※階段は含まない

ただし地域の実情によっては、55平米を加減として引き上げ・引き下げが行われることもあります。

9.維持保全計画
維持保全計画としては、「建築時から将来の定期点検・補修の計画が行われていること」が求められます。

<基準>
・「構造耐力上主要な部分」「水の浸入を防止する部分」「給水・排水の設備」についての点検時期・内容を決めている
・少なくとも10年に1度の点検を計画している
・地震や台風があった際の臨時点検を計画している

10.災害配慮
「自然災害の発生を想定し、被害の防止・軽減に配慮していること」とする災害配慮も、認定基準の一つ。2022年2月の改正に伴い、新しく加わった項目です。

<基準>
・災害発生のリスクが特に高い地域では、長期優良住宅の認定対象外
・災害発生のリスクはあるものの、居住継続が必要な区域では、所管行政庁において措置を求められる

認定基準をクリアできる長期優良住宅を計画しよう

長期優良住宅を目指すには、建築計画時から認定基準を満たせるよう配慮する必要があります。契約する建築会社と相談しながら、10項目を加味して後悔のない長期優良住宅を計画していきましょう。

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