生活音トラブルを防ぐための基礎知識|騒音となるdb(デシベル)は?
生活音とは、家電の音から人の声までさまざまです。小さな音ならトラブルになることは少ないですが、大きくなれば「騒音」として受け取られてしまう可能性もあります。
本記事では、騒音の基準・生活騒音と呼ばれるものの一覧・トラブルを防ぐためにできることを解説します。工夫をして、自他ともに心地良い暮らしを目指しましょう。
生活音とは?
生活音とは、生活をしていて発生する音すべての音です。また、生活音の中でも音の伝わり方はそれぞれで違います。ここで紹介するのは、音の伝わり方や、どんな生活音があるかについてです。
音の伝わり方
音の伝わり方は、3種類あります。
|空気伝播音(空気音)|空気の振動で伝わる音(例)話し声、室外から聞こえる騒音|
|固体伝播音(固体音)|固体の振動で伝わる音(例)床に物を落としたの衝撃音、歩行音|
|混合音(空気伝播音+固体伝播音)|空気伝播音と固体伝播音が混ざった音(例)洗濯機、ドアを閉じる音|
音が物に当たると、はねかえしたり通り抜けたり吸収されたりします。生活音も、物の振動によって、またドア・壁の隙間から空気音が漏れて、周囲にまで届いていきます。
生活音の例
主に、家庭用設備・家電製品・音響機器・人や動物によって発生する音が、生活音として挙げられます。小さな話し声や足音も生活音です。これらの音が周囲の人々にとって迷惑に感じられるレベルに達すると、「生活騒音」と呼ばれます。
「騒音」の基準
人が騒音と感じるのは70dbを超えてからとされています。ただし、その場の環境によって、また人によって感じ方は変わってくるものです。ここでは、デシベル値別の音の感じ方や「騒音規制法」に基づく騒音の基準を紹介します。
人が騒々しさを感じるdb(デシベル)
人が音をうるさいと感じるのは70db以上で、聴力に支障をきたすのは110db以上と言われています。ただし、その場の状況や感じ方によって個人差はありますので、あくまで目安として捉えてください。
|デシベル値|感じ方|
|70~89db|うるさい|
|90~109db|きわめてうるさい|
|110~120db|聴力機能に影響を感じる|
住宅地で快適に過ごせる音の大きさは、昼は55db以下で深夜は45db以下です。これらを超えると騒音と感じられる可能性が高くなります。
「騒音規制法」に基づく基準値
騒音規制法とは、工場や建設時に発生する騒音を規制する法律を指します。住宅がある地域の規制基準は表の通りです。
|午前6時~8時|午前8時~午後7時|午後7時~10時|午後10時~午前6時|
|第1種区域|40db|45db|40db|40db|
|第2種区域|50db|55db|50db|45db|
|第3種区域|60db|65db|60db|50db|
また、作業禁止時間は夜7時から朝7時までです。最大作業時間は1日10時間までで、休日に作業を行わない、連続6日を超えないという規則もあります。
ただし、こちらの法律は住宅同士の騒音トラブルには反映されません。生活音に関する法律は設けられていないのが現状です。
生活騒音と呼ばれるもの一覧
どの生活音も、場合によっては騒音に感じられることがあります。ここでは、生活騒音につながるものとデシベル値を一覧にしています。生活騒音の対策を考えるとき、一覧をぜひ参考にしてみてください。
1. 家庭用設備
家庭用設備による生活騒音は以下のようなものがあります。
|お風呂の排水音|65~75db|
|トイレ|60db|
他には、ドアをバタンと閉める音やシャワーの音も挙げられます。ドアには緩衝材を張る、深夜にはシャワーを浴びない・浴槽の水を流さないなど、配慮が必要です。
2. 家電製品
家電製品による主な生活騒音はこちらです。
|洗濯機|60~76db|
|乾燥機|40~50db|
|冷蔵庫|30~40db|
|エアコンの室外機|40~60db|
|掃除機|60~76db|
掃除機は、掃除機自体から出る音だけではなく、ヘッドが壁に当たるときの衝撃音も騒音の一種になり得ます。冷蔵庫の運動音は静かな夜間だと響きやすくなるので、置き場所を考慮した方が良いでしょう。
3. 音響機器
音響機器で、db値は以下の通りです。
|テレビ|60~76db|
|ステレオ|70~90db|
|楽器|70~90db|
音量調整ができる音響機器なら、周囲の迷惑にならないボリュームにしましょう。深夜にテレビを観たり音楽を聴いたりしたいときは、ヘッドフォンを使用するのもおすすめです。頻繁に楽器を使用するのであれば、近隣住民に話をして許可を得ることでトラブルの可能性が低くなります。
4. 人や動物によって発生する音
|大声での話し声|88~99db|
|ペットの鳴き声|90~100db|
|目覚まし|60~76db|
|電話の呼び出し音|64~70db|
目覚ましや電話は、家の外にまで響きやすい場所は避けるのが無難です。家に人が集まるときは、窓を開けず、また騒ぎすぎないように意識しましょう。ペットを飼っている場合は、頻繁に鳴かないようにしつけをするのも大切です。
生活音トラブルを防ぐためにできること【建築時】
生活騒音は、床や壁に使用する資材を工夫することで対策できます。また、各種の生活音を考慮した間取りにするのも手です。ここでは、建築時にできる生活音のトラブル防止策を紹介します。
1. 発生するであろう生活音を考慮した間取りにする
生活騒音を考慮するなら、間取りは慎重に考えたいものです。トイレ・洗面・風呂はできるだけ1ヵ所にまとめて、隣接する建物から離れたところに置くことをおすすめします。さらに、リビングや寝室から離れたところに置けば家族も快適に過ごせるでしょう。
2. 騒音が発生しやすい部屋を畳にする
畳を敷くと、床を伝って響く音が軽減されます。畳は床材の中でも素材がやわらかいため音を拾いにくく、イグサの繊維にも吸音効果があるからです。特に、高音域の衝撃音を防ぐ効果に優れています。
畳のL等級(床に響く衝撃音の遮音レベル)はLL45〜55の2級クラスで、足音や物が落下する音が気になりません。子どもが遊び回るスペースを作りたい、家族で気兼ねなくリラックスできる部屋を作りたいというときに、畳の使用を検討してみてはいかがでしょうか。
3. コンクリート材を使用した家にする
建築材にコンクリートを用いると、遮音性が上がります。木造・鉄骨造に比べて、コンクリートを使用した家は密度が高く、音を通しにくいのでおすすめです。
アイム・ユニバースでは、ALC材を使ったへーベルパワーボードを使用しています。へーベルパワーボードは音を反射する効果が高く、音を外に伝えにくいです。
また、壁内にある気泡が音を吸収するので、室外からの音を抑えてくれます。アイムユニバースで新築の依頼を検討している人は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
生活音トラブルを防ぐためにできること【建築後】
家の建築後も、吸音アイテムを使ったり、家具・家電の置き方を工夫したりすると生活騒音を防げます。ここでは、建築後に生活音トラブルを防ぐための方法を紹介します。
1. 防音マット・シートを敷く
防音マット・シートを敷くと、衝撃音を吸収して音が伝わりにくくなります。好きなサイズや枚数を選べるジョイント式の商品は、どんなサイズの部屋にも支えて便利です。マットやシートは、厚く重くなるほど防音効果が高まります。
また、遮音等級を確認するとどれくらい音を防げるかがわかるので、そちらもチェックしてみてください。
2. 遮音カーテンを取り付ける
遮音カーテンは外からの騒音を防いだり、室内の音も外に伝えにくくしたりします。購入する際は、窓を隙間なく覆えるサイズを選ぶのがポイントです。なかには、遮音効果を高めるために布を厚くして重くなっているものもあるので、カーテンレールの耐荷重を確認しておくこともおすすめします。
3. 遮音ゴムを気になる場所に取り付ける
遮音ゴムは、固体伝播音を抑える効果があるアイテムです。振動音が気になる家電などに取り付けることで、生活騒音を防げます。夜間に洗濯機を使用する人は特に要チェックです。
4. 家具・家電の置き方を工夫する
家具や家電の置き方を工夫することでも防音効果を高められます。クローゼット・タンス・本棚といった収納を配置すると、家具自体や収納したものが音を吸収し、響きづらくさせます。
テレビの音を隣人に聞かれたくない場合は、隣の家の壁側にならないようにしてみてください。また、家具家電は壁につけて置くよりも、数cm離して置くと音が伝わりにくくなります。
自分が周りの生活音に悩まされている場合の対処法
生活音が気になる理由は、非常識なレベルの騒音によるものだからか、そうでなければ自身の聴覚過敏による原因が考えられます。ここでは、生活音に悩んでいるときの対処法を紹介します。
聴覚過敏によって気になる場合
聴覚過敏の原因はさまざまです。発達障害やHSPといった生まれ持った性質によるものや、ストレスによる後天的なものなどが考えられます。
この場合、音を気にしすぎてしまう原因を自分で理解することが大切です。自分が周りに比べて聴覚が過敏だと思ったら、専門医に相談するのを検討してみてください。
常識の範疇を超えた行為で悩まされている場合
非常識な騒音で悩まされているなら、まずは管理会社、自治体などに相談をしてみましょう。間接的に、その住人や施設に注意をしてもらえます。
管理会社などに相談しても改善せず、不眠症などの健康被害を負っている場合は、警察や弁護士に相談するのも手です。
生活音トラブルを防いで、誰もが心地良い暮らしを
生活音は生活している限り発生するため、迷惑がかからない範囲で抑えることが大切です。間取りや家具の配置を工夫したり、アイテムを使用したりして生活音トラブルを防ぎ、誰もが心地良いと感じられるのがベストです。