中庭のある家のメリット・デメリット|2つの間取りの実例も紹介
中庭のある家は、通行人の目を気にしないで採光や換気ができたり、自然を感じやすかったりといったところが魅力です。しかし、デメリットがあることもよく知っておかなければ、建築後に後悔してしまう可能性も。
この記事では、中庭のある家のメリットとデメリット、実際によく聞く失敗例、建てるときのポイント、間取りの実例を紹介します。
「中庭のある家」ってどんな家?
中庭とは、家の外壁に囲われるように設置された庭を言います。中庭の形は、ロの字型・コの字型・L字型の3種類です。
・ロの字型:四方に壁がある。
・コの字型:三方に壁がある。
・L字型:二方に壁がある。
壁が少ないほど庭を広く取れて開放感があり、壁が多いほどプライバシーが守られます。
中庭のある家のメリット6つ
中庭のある家は採光・換気がしやすかったり、庭のプライバシーが守られたりなど多くのメリットがあります。ここでは中庭のある家のメリットを紹介します。
1. 室内が明るくなる
中庭のある家のメリットは、自然光を取り込みやすく室内が明るくなるという点です。中庭を設けることで外壁の表面積が増えて、窓を設けやすくなります。
また、家の中心部にある中庭を囲うようにして窓が設けられるため、家全体に採光できます。日当たりがあまり良くない北側の部屋まで、満遍なく光を通してくれるでしょう。
2. 庭のプライバシーが守られる
中庭は家の壁に囲まれていて外から見えにくいので、従来のベランダなどと比べてプライバシーが守られます。洗濯物を乾かしたり、カフェテーブルを置いて一息ついたりなど、人目を気にせず自由に過ごせます。
3. 室内の換気がしやすい
換気がしやすいのも、中庭のある家が持つメリットでしょう。先述した通り、中庭があると窓を設けやすくなります。その時々で風の流れは変わりますが、二方向以上の窓が得られる中庭があれば、家の中に風を通しやすくなるでしょう。
4. 中庭に面している部屋は自然を感じられる
中庭に面している部屋は、窓からすぐ中庭にある植物が見えます。自然光が入るだけでなく、緑や土といった自然が近い位置にあるところが中庭の魅力です。
自然は癒しの効果があるとされています。そのため中庭は、体を休めるリビングや寝室、外出からの疲労がまだ抜けていない玄関などに隣接していると良いでしょう。
5. 適度な距離感を保ちながら家族の気配を感じられる
中庭で区切られた部屋は、壁で区切られた場合に比べて開放的です。自分と家族が別の部屋にいても、中庭を通してお互いの姿や気配が確認できます。適度に植物や家具を配置すれば、プライバシーも適度に守れます。中庭は二世帯住宅を検討している人にもおすすめです。
6. 庭で子どもを遊ばせやすい
中庭は道路に面している部分がないため、子どもが道路に飛び出す心配なく遊ばせやすいです。また、中庭は家のどこにいても確認しやすく、家事をしながらでも子どもが庭で遊んでいる様子が見えます。人工芝を敷くと床面のクッション性が高まり、子どもの怪我対策になるのでおすすめです。
中庭のある家のデメリット5つ
中庭を作ると、建築時やリフォーム時のコストが高くなったり、冷暖房効率が下がりやすくなったりなどのデメリットがあります。ここでは中庭のある家のデメリットを紹介します。
1. 建築時のコストが高くなる
中庭を作ると外壁や窓が増えるため、材料費や建築費が高くなる可能性があります。建築費用はL字型、コの字型、ロの字型と外壁が多くなるに従い増えていきます。
また、従来の形よりも複雑な形の間取りになるため、家の強度を高めるための費用も必要になるでしょう。メンテナンス時やリフォーム時のコストも高くなりやすいです。
2. 冷暖房効率が下がりやすい
中庭のある家は窓が多くなり、断熱性能が低くなりやすいです。夏は冷房の空気が、冬は暖房の空気が外に出ていきやすいため、その分の光熱費がかかります。断熱材や建具の種類などで家の断熱性を高める必要があります。
3. 生活動線が不便になる可能性がある
晴れている日は中庭を通路として使えますが、雨の日は中庭をまわるように室内を移動することになります。その場合ため、生活動線が長くなり不便になるかもしれません。雨の日の生活動線を考えた上で間取りを決めることが大切です。
4. 中庭に湿気・熱気がたまる
中庭は壁に囲まれているため、設計時に注意していないと、空気が動きにくく湿気や熱気がたまりやすい家になってしまうでしょう。換気しやすい設計にしたり、室外機の置く場所を適切にしたりする必要があります。特にロの字型は湿気と熱気がたまりやすいので注意しましょう。
5. 十分な敷地がないと居住スペースを圧迫する
中庭を作るには、十分な敷地がないと居住スペースを圧迫してしまいます。居住スペースを考慮して計画しないと、生活が不便になってしまうかもしれません。中庭を検討する際は、各部屋がストレスなく過ごせる広さを保てるかを意識してみてください。
中庭のある家で後悔した?実際にあった失敗例
ここでは、中庭のある家で過ごした人が実際に感じた後悔や失敗例を紹介します。失敗例を確認して、自分が中庭を作って後悔しないように対策していきましょう。
選んだ土地では中庭が作れなかった
まず紹介するのは、土地の形状や面積などさまざまな理由で中庭が作れないケースです。土地の状態が中庭を作るのに適しておらず、中庭が作れないというのは珍しくありません。中庭を作りたい場合は、土地を買う前から中庭を作れる条件を満たしているかの確認が必要です。
実際は庭の手入れをしている暇がなかった
中庭を作ってみたものの、生活が忙しく庭の手入れをする暇がないという声もあります。手入れしない期間が長くなると、雑草が生えて見栄えが悪くなったり、よく虫が寄ってきたりします。手入れの時間が取れない人は、手間がかからないタイルやウッドデッキにするのがおすすめです。
土の水はけが悪くて湿気・虫に悩まされた
土の水はけが悪く湿気がたまり、虫が発生することもあります。こうした失敗をしないためには、排水設備を十分に設けることが重要です。
また、床材をタイルにすると虫の発生が抑えられ、中庭と室内の床に高低差をつけると虫の室内侵入を防ぎやすくなります。
中庭のある家を建てるときのポイント3つ
中庭を作るときは、暮らしにあった設計・排水機能を確保する・窓のサイズは断熱性と耐震性を考慮することが大切です。ここでは、中庭のある家を建てるときのポイントを紹介します。
1. 自分たちの暮らしに合った設計を意識する
中庭を作る際は、自分たちの暮らしや生活動線に合った設計を意識しましょう。特に重要なのは、キッチンからリビングと、寝室からトイレへの動線です。これらはよく行き来する部屋なので、家を建ててから不便に感じないように検討することが大切です。庭の手入れをする余裕があるかも考慮すると良いでしょう。
2. 豪雨を考慮した排水機能を確保する
日常的に見られる程度の雨だけでなく、豪雨が発生する場合も予想して計画しましょう。水はけの良い土地を選ぶ他、床を吸収性が低く水はけの良い素材にしたり、排水管を設置したりするのがおすすめです。
3. 窓のサイズは断熱性・耐震性を考えながら決める
中庭側の窓のサイズを決めるとき、断熱性や耐震性を考慮することも忘れてはいけません。デメリットでも上げたように、窓が多く大きいほど冷暖房効率が下がりやすくなります。窓を大きく作りたい場合は、断熱性能の高い窓を選んだり耐震補強をしたりといった対策を検討してみてください。
【実例】中庭のある家の間取り2つ
最後に、中庭のある家の間取りを紹介します。中庭に憧れている人は、一例としてぜひマイホーム作りの参考にしてみてください。
1. 玄関に面した位置に中庭のある家
玄関に入ってすぐ中庭が見える間取りです。中庭があることで、玄関は自然を感じられるだけでなく、奥行きが出て解放感を得られます。2階にあるバルコニーから中庭を見ることもできます。シンボルウッドの周りはウッドデッキに囲まれているので、お手入れがしやすいところも魅力です。
2. ウッドデッキでくつろげる中庭のある家
座ってくつろげるウッドデッキが設置された中庭です。ウッドデッキ部分では、シンボルウッドを眺めながらゆったりと過ごせます。2階の北側にリビングが位置していますが、中庭が面しているので採光は問題なく行えます。リビング、洋室ともにトイレまでの生活動線が短いところも魅力です。
中庭のある家で明るい暮らしを
中庭のある家は湿気や断熱、生活動線などの対策を行っていれば、十分快適に過ごすことができます。中庭のある家を作り、自然に溢れた明るい暮らしをしてみてはいかがでしょうか。