【解説】11種類の断熱材|断熱効果を高めるために必要なことも紹介

コラム

建物における断熱材は、熱中症対策や冷暖房効率の向上のために欠かせない存在です。本記事では、断熱材の役割や重要性、種類ごとのメリット・デメリット、断熱効果を高めるために必要なことを解説します。

また、実際に&RESORT HOUSEで行っている断熱対策も紹介しますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。

建物に使われている断熱材とは?

断熱材とは熱を遮断させる材料のことで、床や壁、寝具、クーラーボックスなどあらゆるものに活用されています。ここで紹介するのは、床や壁などで使われている断熱材についてです。まずは断熱材の役割や重要性、種類について解説します!

断熱材の役割
断熱材の役割は、外の熱・冷気などから守り、室内の温度を一定に保つことです。断熱材の種類によって、夏は外からの熱気を遮断し涼しく、冬は冷気を防いで室内の暖かさをキープできます。季節にとらわれず一年中快適な暮らしを実現するために、家づくりに断熱材は欠かせません。

断熱材の重要性
断熱材がないと、室温は外の気温に左右されてしまいます。近年、夏は猛暑で40度を超えることが珍しくなくなり、人々の健康のためにも断熱材が重要視されるようになりました。

また冬の寒さが厳しい地域では、断熱材によって室内の温度が大きく変わります。断熱材があることで冷暖房効率も良くなるため、省エネ対策としても重要性が高いと考えられています。

断熱材の種類
断熱材の種類は大きく分けて、無機繊維系・木質繊維系・天然素材系・発泡プラスチック系の4つです。素材によって異なるメリット・デメリットがあります。熱伝導率や施工方法、コストはどのくらいかかるのか種類別で把握しておきましょう。

【種類別】無機繊維系断熱材のメリット・デメリット

無機繊維系断熱材は鉱物を原料にして作られた断熱材です。ガラスや岩などを溶かして繊維状にし、隙間に空気を閉じ込めているのが特徴です。

グラスウール
グラスウールは不燃ガラスの繊維で作られた最も安価な断熱材です。吸音性があるため防音効果が高く、変形や劣化に強いのが特徴。シロアリなどの食害を受けにくい他、燃えにくく火災に強いのがメリットです。

一方、デメリットとしては施工によって内部結露しやすく、遮断性が落ちてしまうことが挙げられます。しかし、湿気から守るための対策として壁と断熱材との間に隙間を無くし、吸水シートできちんと覆えば改善できると言われています。

ロックウール
ロックウールは鉄鋼スラグや玄武岩を溶かし、繊維状にした断熱材です。日本では認知度がまだ低いものの、北欧ではグラスウールと同じくらい取り入れられています。

こちらも熱に強く燃えにくいのが特徴。吸音性も防音性も高いため、空港でも使われています。鉱物が原料のため、害虫の被害を受けにくいのもメリットです。デメリットは湿気に弱い点や、触れるとチクチクとする点などが挙げられます。

しかし、こちらも使い勝手は施工方法によるため、改善の余地はあると言えるでしょう。

【種類別】木質繊維系断熱材のメリット・デメリット

続いて木材などを原料として作られた木質繊維系断熱材の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう!

インシュレーションボード
インシュレーションボードは廃木材などを原料にして作られた、ボード状の断熱材です。軽量で加工がしやすく、断熱性と吸音性が高いのが特徴。また浸透性に優れており、結露しにくいといった面もあります。

一方、デメリットは害虫に弱い上、木質素材のため耐火性能が低いことです。価格も高めのため、ハウスメーカーでもインシュレーションボードをメインの断熱材として取り入れることは少ない傾向にあります。

セルロースファイバー
セルロースファイバーは、古紙を原料として作られた環境に優しい断熱材です。耐火性能や害虫予防、結露対策にも優れており、自然素材特有の力を発揮してくれます。

また、吹き付け充填工法という施工方法で無数の細かい気泡を吹き付けて断熱するため、隙間ができにくく高い気密性を保てるのがメリットです。

ただし、その分コストが高く、グラスウールの倍近くの値段がかかる場合があります。セルロースファイバーは素材の重さにより壁内で沈下しやすいため、専門業者に依頼しなければならない点もデメリットです。

【種類別】天然素材系断熱材のメリット・デメリット

続いて、無添加の自然素材を原料とした天然素材系断熱材の特徴やメリット・デメリットを解説します。

ウール
ウールと呼ばれるのは羊毛を原料とした断熱材で、衣服をリサイクルしたものを利用しています。湿度の調整機能に優れており、結露対策に最適です。ウールならではの高い断熱性や耐久性、半永久的な防虫効果もメリットです。

一方、ウールは天然素材のため価格が高くなってしまいます。断熱材をきちんと施工できる業者が少ないのも、コストが高くなる理由のひとつでしょう。

炭化コルク
炭化コルクはワインの栓などに利用されるコルクを炭化させた断熱材です。炭化コルクは多くの空気を含んでいるため、断熱性や吸音性、調湿性に優れています。

また自然由来の防虫効果があり、ダニなどの害虫を寄せ付けないのもメリットです。ただし、ウール同様に海外からの輸入がほとんどで希少価値が高いため、価格は比較的高い傾向にあります。

【種類別】発泡プラスチック系断熱材のメリット・デメリット

最後はプラスチックを発砲させて作った断熱材の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう!

ポリスチレンフォーム
ポリスチレンフォームには、押出発泡ポリスチレンとビーズ法ポリスチレンの2種類があり、どちらも原料は同じですが製造方法に違いがあります。

押出発泡ポリスチレンは、ポリスチレンを溶かし発泡剤などを混ぜて、板状に押し出し形成したものです。この断熱材は熱伝導率が低いため、断熱性が高く、水や湿気に強いのが特徴です。また、軽量でサイズが自由自在に形成できます。

一方ビーズ法ポリスチレンは、溶かしたポリスチレンを金型に入れて発砲させ形成します。発泡プラスチックの中では比較的安価で、水や湿気に強いのが特徴です。

しかし、この2種類はどちらも熱に弱いため、防火性に不安が生じるのは否めません。

高発泡ポリエチレン
高発泡ポリエチレンとは、原料のポリエチレン樹脂に発泡剤を混ぜて成形した断熱材です。石油系断熱材の中では柔軟性があり、狭い箇所に施工しやすいという特徴があります。

断熱性や防水性に優れているのがメリットですが、こちらも火に弱い点がデメリットです。しかし、燃えたときの有害性は低く、環境に優しいと言われています。

硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、原料のポリタンウレタン樹脂にフロンガスなどの発泡剤を混ぜて成形した断熱材です。熱の伝導を抑えるガスが硬質ウレタンフォームの気泡の中に含まれており、高い断熱性を持っています。

内側から外側に蒸気を出す性質があり、結露を防ぐのにも役立ちます。デメリットとしては価格が高めなことと、万が一燃えた際に有毒ガスが発生する恐れがあることです。

フェノールフォーム
フェノールフォームは、原料のフェノール樹脂に発泡剤や硬化剤などを混ぜて成形した断熱材です。熱伝導率が圧倒的に低い特徴があり、長期的に断熱性を維持できます。

また耐火性に非常に優れており、燃えても有毒ガスがほとんど発生しません。そのため、不燃・準不燃材料に認定されています。ただし、価格が高いのと害虫に弱いのがデメリットです。

断熱効果を高めるために必要なこと

さまざまな断熱材のメリット・デメリットが確認できたら、次はそれぞれの断熱材の効果を活かすためのポイントを押さえておきましょう。

ここでは、どの断熱材でも共通する断熱効果を高めるために必要なことをお伝えします。

窓の気密性を上げる
家の中で最も外気の影響を受けやすい場所は窓とされています。冬には暖房の熱の約50%が窓から逃げ、夏は70%の熱気が窓から伝わってくると言います。

そこで窓の気密性を上げるために重要なのがサッシです。樹脂サッシはアルミサッシの1000倍の断熱性があると言われています。窓の気密性を上げることで、断熱性の効果をより高められるでしょう。

内窓を追加する
外窓にプラスして内窓を取り付けた状態を二重窓と言います。内窓を取り付けることで外窓との間に空間が生まれ、熱を遮断する役割をしてくれるのです。冬は冷気の影響を受けにくく、夏は強い日差しや日射熱の侵入を遮断してくれます。

また内窓は断熱効果を高めるだけでなく、結露の軽減や防音などのメリットもあります。

熱交換型換気システムを導入する
熱交換型換気システムとは、機械を使って24時間自動的に換気を行うシステムです。窓を開けることなく、家中の空気を2時間ごとに入れ替える仕組みになっています。

排気された室内の空気から熱を集め、新しく取り入れる空気に熱を移すので、従来の換気システムに比べて室内の温度変化が少なくなります。

熱交換型換気システムを導入することで、換気による冷暖房熱の損失を防ぎ、室内の断熱効果を維持できるでしょう。

&RESORT HOUSEの断熱対策

&RESORT HOUSEは屋上テラスが特徴の戸建て住宅です。環境の変化に対応できる365日快適な家を実現するため、断熱対策も万全に行っています。ここでは、どのような断熱対策をしているのか詳しく解説します!

対策1.屋根・壁・床の断熱材
屋根・壁・床の断熱材には、高性能断熱材のグラスウールを使用しています。グラスウールはシロアリなどの害虫被害がなく、木材を腐らせる腐朽菌の心配もありません。

また、高温多湿な状態でも劣化しにくく、吸音性にも優れています。また、屋根・天井からの直射日光による熱伝導を防ぎ、壁全体の気密性が高いため冷暖房効率を上げるでしょう。

さらに1階に浴室がある物件には、浴室や洗面脱衣所の基礎部分にスタイロフォームという断熱材を使用しています。

対策2.アルミ樹脂複合窓
サッシはアルミと熱伝導の低い樹脂を複合したアルミ樹脂構造で、優れた断熱性能を実現しています。窓は冷暖房エネルギーの削減・省エネ効果アップに効果的な複層ガラスです。結露を抑える効果もあり、室内環境を快適に保ちます。

対策3. コンクリート基礎と土台の間にあるパッキン
家の耐久性を高めるには床下の湿度管理が重要です。コンクリート基礎と土台の間にあるパッキンが換気効率を高めてくれます。また、湿気が土台に影響するのを防ぎ、シロアリ対策としての役割も担っています。コンクリート基礎の欠損がないため、強度を下げることもありません。

日々を快適に過ごすために断熱対策を万全にしよう!

断熱材を取り入れたり、断熱効果を高める対策をしたりすることで、寒さや暑さに左右されることのない暮らしを実現できます。冷暖房効率が上がるため、省エネ効果も得られるでしょう。

家の購入を検討している人は、ぜひ今回の記事を参考に断熱対策に力を入れてみてはいかがでしょうか。

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