台風に強い家の特徴と耐風等級・屋根・窓の確認方法
台風に強い家かどうかは、木造・鉄骨・RCといった構造の種類では決まりません。
耐風等級と屋根・窓の留め付け、土地の浸水リスクで決まります。
構造名や口頭の説明だけで選ぶと、屋根材のはがれや窓の破損、床上浸水への弱さを、住み始めてから直しにくい形で抱えかねません。
本記事では、台風に強い家の条件と耐風等級の見方、屋根と窓の対策、土地選びと浸水対策、設計者に確認する項目について解説します。
業者の説明が正しいかを自分で確認できるよう、見るべき書類と数値まで整理しているため、ぜひ参考にしてください。
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台風に強い家の条件と被害が集中する部位

台風に強い家の条件は、耐風等級2と屋根ふき材の全数固定、窓の飛来物対策、想定浸水深より高い床の4つです。
構造が木造か鉄骨かという名前だけでは、強さは決まりません。そのため、部位ごとの仕様と等級を、書類で確認しましょう。
部位ごとに起きる被害と満たしたい水準、確認先は、次のとおりです。
| 部位 | 起きる被害 | 満たす水準 | 確認する書類・聞く相手 |
|---|---|---|---|
| 構造躯体 | 強風で建物が揺れ、接合部や壁が傷む | 耐風等級2 | 住宅性能評価書・設計者 |
| 屋根 | 瓦や屋根材がめくれて飛び、雨が入る | ふき材を全数固定した仕様 | 仕様書・施工会社 |
| 窓 | 飛来物でガラスが割れ、風雨が吹き込む | シャッター・雨戸か合わせガラス | 仕様書・販売担当者 |
| 立地 | 床上浸水で内装や設備が使えなくなる | 想定浸水深より高い床 | ハザードマップ・自治体 |
(出典:住宅性能表示制度|国土交通省/ハザードマップポータルサイト|国土地理院)
4部位のうち1つでも水準に届かない部位があると、その部位から被害が広がります。
契約前に表の4部位を書類で確認し、屋根の固定や窓の守りに弱点が残っていないかを把握しておきましょう。
風による被害と雨による被害の違い
台風の被害は風と雨で起き方が異なり、風には建物の仕様で、浸水には土地と床の高さで備えます。
風による被害の中心は、屋根や外装が吹き上げられて剥がれる被害と、風圧や飛来物で窓が壊れる被害です。
雨による被害は、水の入り口ごとに雨漏りと浸水に分けて考えましょう。令和元年の房総半島台風では、暴風で屋根が壊れ、直後の強風を伴う雨で屋内に浸水する被害が起きました(出典:令和2年版防災白書|特集第1章第1節 1-2 令和元年房総半島台風による災害|内閣府防災情報のページ)。
雨漏りは風の被害に続いて起きるので、屋根と窓を風に強い仕様にすれば減らせます。一方で浸水は、あふれた水が床の高さを超えると起こり、柱や基礎をどれだけ強くしても防げません。
被害が集中する屋根と窓
台風の被害が集中しやすい部位は、風で持ち上げられる屋根と、飛来物が当たる窓の2か所です。
2019年9月の令和元年房総半島台風では、千葉市で最大瞬間風速57.5m/sを観測し、住家被害は全壊391棟に対して半壊・一部損壊が76,483棟と、建物の一部が壊れる被害が大半でした(出典:令和2年版防災白書|特集第1章第1節 1-2 令和元年房総半島台風による災害|内閣府防災情報のページ)。
令和元年台風第15号(房総半島台風)の現地調査では、最大風速を基準風速と同じ高さ10m・地表面粗度区分2の条件に換算すると、どの地点も基準風速を超えていません(出典:令和元年台風第15号に伴う強風による建築物等被害現地調査報告(速報)|国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所)。
しかし、窓ガラスの破損や、瓦・スレートなど屋根ふき材のはがれ、屋根や小屋組の飛散が起きました。
外壁もモルタルやサイディングの一部がはがれ、海風を受けた家では角の外壁材がはがれていました。被害が大きかったのは、築年数が経った家や海沿いの家、腐朽やシロアリの害がある家、留め具が劣化したとみられる家です。
外壁材の選び方は、下記の記事にて解説しています。
外壁材の種類は何種類?それぞれのメリットや選ぶ時のポイントも紹介
木造・鉄骨・RCで変わる点と変わらない点
台風への強さは、木造・鉄骨・RCという構造名では比べられず、耐風等級と部位ごとの仕様で比べます。
耐風等級は1と2の2段階で、評価の対象は柱・はり・主要な壁・基礎といった構造躯体です(出典:地震などに対する強さ(構造の安定)|一般社団法人住宅性能評価・表示協会)。
屋根と窓で差がつくのも、屋根材の留め付け方やガラスの仕様です。たとえば、RC造でも、瓦や窓が風に負ければ室内に雨が吹き込みます。構造名を安心材料にせず、耐風等級と部位ごとの仕様をセットで確認しましょう。
制震装置は揺れを抑える装置で、耐風等級の代わりにはなりません。
構造とは別に、揺れへの備えとして加える選択肢です。当社は地震だけでなく、沖縄など台風の強風による揺れへの対策として、全棟に制震装置を採用しています。
制震ダンパーの仕組みと耐震・免震との違いは、下記の記事にて解説しているので、併せて読んでみてください。
制震ダンパーとは|耐震・免震との違いは何?メリット・デメリットも解説
台風に強い家の耐風等級と基準風速

台風への強さを数字で比べるなら、住宅性能表示制度の耐風等級を確認してください。等級は1と2の2段階だけで、木造・鉄骨・RCのどの構造でも同じものさしで比べられます。
ただし、等級が同じでも、前提になる風の強さは土地ごとに決まる基準風速で変わります。等級の数字と土地の基準風速は、セットで確認しましょう。
耐風等級1と等級2の違い
耐風等級2は、等級1の1.2倍の風の力に耐えられる最上位の等級です。
等級1は建築基準法と同じ水準で、2つの等級の差は次のとおりです。
| 等級 | 500年に一度程度の暴風 | 50年に一度程度の暴風 |
|---|---|---|
| 耐風等級1 | 暴風の力(1倍)で倒壊・崩壊しない | 暴風の力(1倍)で損傷しない |
| 耐風等級2 | 暴風の力の1.2倍で倒壊・崩壊しない | 暴風の力の1.2倍で損傷しない |
(出典:地震などに対する強さ(構造の安定)|一般社団法人住宅性能評価・表示協会)
表の暴風を東京近郊の高さ10mに置き換えると、50年に一度程度は平均風速約30m/s・瞬間最大風速約45m/sです。500年に一度程度は、平均風速約35m/s・瞬間最大風速約50m/sになります。
また、気象庁が発表する風速は10分間の平均値で、瞬間風速は平均の1.5〜3倍程度になることがあります(出典:風について|気象庁)。予報の数値を等級の目安と比べるときは、平均風速は平均風速と、瞬間風速は瞬間風速と見比べましょう。
自分の土地の基準風速の調べ方
基準風速は、設計者か、土地がある自治体の建築担当の窓口に聞けばわかります。
基準風速は風圧力の計算に使う地域ごとの風の速さです。建築基準法施行令第87条第2項で30〜46m/sの範囲と決められ、地域ごとの値は平成12年建設省告示第1454号で定められています。
一例として、愛媛県内の基準風速は34m/sです(出典:風圧力(地表面粗度区分・基準風速)|愛媛県庁公式ホームページ)。
ただし、基準風速の数値を1つ聞くだけでは足りません。風圧力の計算では、周辺の建物や障害物の状況に応じて4つに分けた地表面粗度区分も使います。
基準風速と地表面粗度区分の2つを設計者に聞き、その値で耐風の計算をしているかを確認しましょう。
耐風等級2と等級2相当の見分け方
耐風等級2と等級2相当は、登録住宅性能評価機関が交付した住宅性能評価書があるかどうかで見分けます。
| 項目 | 耐風等級2 | 等級2相当 |
|---|---|---|
| 評価する者 | 登録住宅性能評価機関(第三者) | 設計・販売する会社自身 |
| 書面 | 設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書 | 会社の説明資料や口頭の説明(評価書はない) |
| 根拠 | 評価方法基準に沿った第三者の審査 | 会社の計算や仕様の説明(第三者の審査を経ていない) |
等級2相当の家が等級2に届いていないとは限りませんが、裏付けは会社の資料に限られます。
住宅性能表示制度の耐風等級は、必須の耐震等級(倒壊等防止)と違って申請する人が選ぶ項目なので、評価書があっても評価していない家があります(出典:性能表示事項の必須・選択項目の範囲(令和4年10月1日施行)|国土交通省)。評価書を受け取ったら、耐風等級の欄に等級が書かれているかまで確認しましょう。
評価書は、図面の段階で評価する設計住宅性能評価書と、施工中と完成時の検査を経る建設住宅性能評価書の2種類です。
図面どおりに建ったかまで第三者の目が入るのは、建設住宅性能評価書のほうになります。設計住宅性能評価書は令和7年度に新設住宅の着工戸数40.7%で交付されており、求めても特別な依頼にはあたりません(出典:設計住宅性能評価書を交付した住宅戸数は制度開始後、過去最多~令和7年度の住宅性能表示制度の実施状況について~|国土交通省)。
そのため、契約前に設計住宅性能評価書の有無と、建設住宅性能評価まで受けるかを聞きましょう。評価書がない場合は構造計算書を求め、土地の基準風速で耐風を検討しているかを設計者に確認してください。
台風に強い家の形と屋根の固定方法

屋根が台風に耐えられるかは、形の名前より、瓦などの屋根ふき材の留め付け方で判断しましょう。
瓦屋根は着工した時期ごとに固定の基準が異なります。義務化より前に建てた家は、耐風診断で今の状態を確認してください。
建物と屋根の形の効き方と確認方法
寄棟や正方形・平屋といった形の名前だけでは、台風に強いとは判断できません。
形の優劣を断定する公的な根拠はないので、形の説明を受けたときは、設計上の裏付けがある話かを分けて聞いてください。
風圧力(建物が風から受ける力)は、地域ごとの基準風速と、周辺の建物や樹木の状況で4つに分ける地表面粗度区分、建物の高さを条件にして計算します(出典:風圧力(地表面粗度区分・基準風速)|愛媛県庁公式ホームページ)。
同じ形の家でも、海沿いの開けた土地と住宅が密集した市街地では、計算上かかる力の大きさが変わります。形の良し悪しは、構造計算で確認する事項として扱うのが確実です。
2022年から義務になった瓦の全数固定
2022年1月1日以降に新築する瓦屋根は、すべての瓦を下地に緊結(固定)しなければなりません。
昭和46年建設省告示第109号の改正は令和2年12月7日に公布され、令和4年1月1日の施行により、粘土瓦とセメント瓦の屋根の緊結方法が強化されています。
全数固定の義務の対象は粘土瓦やセメント瓦などの屋根瓦で、金属屋根やスレート屋根は含まれません(出典:屋根ふき材、外装材及び屋外に面する帳壁の構造方法を定める件等の改正について(技術的助言)|国土交通省)。
金属屋根やスレート屋根の家では、屋根材を下地に留める方法が仕様書に書かれているかを施工会社に確認しましょう。
瓦屋根標準設計・施工ガイドラインに準拠したガイドライン工法は告示基準となり、新築するすべての建築物に義務付けられています(出典:建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策|国土交通省)。
ただし、全数固定の義務は新築時にかかり、2021年以前に建てられた瓦屋根にはさかのぼって適用されません。中古の瓦屋根の家を検討するときは、建築した年を必ず確認してください。
屋根材ごとの特徴と屋根の形は、下記の記事にて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
新築屋根を選ぶ際の注意点とは?屋根材の種類や屋根の形状を確認
2021年以前の瓦屋根の耐風診断と補助金
2021年以前に建てた家の瓦屋根は、耐風診断を受ければ今の留め方で問題ないかを判断可能です。
全数固定の義務はさかのぼって適用されないため、建てた当時の留め方のままになっている可能性があります。
耐風診断では、今の瓦の留め方が求められる耐風性能に届くかを評価し、補強する場合はどの改修工法なら水準を満たすかまで判断します(出典:国総研資料第1309号|国土技術政策総合研究所)。
診断と改修の費用は、自治体の補助で一部をまかなえる場合があります。千葉市の令和8年度の制度は、次のとおりです。
| 区分 | 補助額 | 上限 |
|---|---|---|
| 耐風診断 | 診断費用の3分の2 | 2万1千円 |
| 耐風改修 | 工事費と屋根面積×30,000円の低いほうの23% | 55万2千円 |
※2026年10月時点
(出典:住宅の瓦屋根耐風診断・耐風改修補助制度|千葉市)
ただし、千葉市の令和8年度の受付は8月31日で、すでに終了しました。申請前に工事へ着手すると補助の対象外になるため、工事の契約は申請のあとに回してください。
補助の制度を設けていない自治体もあることから、住んでいる市区町村の建築指導の窓口に制度の有無を問い合わせましょう。
台風に強い家の窓とシャッター・合わせガラス

窓の台風対策は、飛来物にはシャッター・雨戸と合わせガラス、風圧には建物の耐風圧計算に合ったガラスとサッシで備えましょう。
窓は屋根と並んで被害が集中する部位で、飛来物・風圧・雨水の浸入の3つが原因で壊れます。
家を検討している方は、道路側や風上側の窓にシャッター・雨戸か合わせガラスが入っているかを図面で確認してください。
また、サッシの耐風圧性能はJIS A 4706の規格で区分されるので、仕様書に性能の記載があるかもあわせて見ておきましょう。
窓が飛来物で割れたときの被害
窓が割れると被害はガラス1枚では終わらず、台風が通り過ぎるまで割れた箇所から風雨が屋内へ吹き込み続けます。
ガラスを割る原因は風圧だけでなく、強風で外れた屋根瓦の破片や折れた枝などの飛来物です。
風雨の入り口が開いたままになると、床や壁、家財が水に濡れ、ガラスの交換だけでは済まなくなります。窓は屋根と並んで、優先して守らなければなりません。
さらに、窓が割れて暴風が室内へ一気に流れ込むと、屋根が内側から吹き上げられる被害も起きます。令和元年台風第15号(房総半島台風)でも、海沿いの比較的新しい住宅で風上側の窓ガラスが割れ、屋根が飛んでいました(出典:令和元年台風第15号に伴う強風による建築物等被害現地調査報告(速報)|国土交通省国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所)。
窓を割らせない備えは、建物の外側で決まります。台風の直前に室内でできることは限られるので、開口部ごとの守り方は家を建てる段階で決めておきましょう。
シャッター・雨戸と合わせガラスの役割の違い
シャッターと雨戸は飛来物をガラスに当てないための備えで、合わせガラスは当たったあとの割れ方を抑える備えです。
合わせガラスは2枚のガラスの間に樹脂の中間膜を挟んで圧着したもので、瓦や枝が当たっても貫通しにくく、破片もほとんど飛び散りません(出典:防災安全合わせガラスとは?|一般社団法人板硝子協会)。
部材ごとに防げるものと注意点は、次のとおりです。
| 部材 | 防ぐもの | 注意点 |
|---|---|---|
| シャッター・雨戸 | 飛来物がガラスに当たること | 台風の前に閉めていないと働かない |
| 合わせガラス | 割れたときの破片の飛散と貫通 | ガラスが割れること自体は防げない |
シャッターと雨戸は閉めないと窓を守れないため、夜間や外出中に風が強まると、閉め忘れた窓がそのまま飛来物にさらされます。
一方で、合わせガラスは操作がいらず、シャッターのない高窓や閉め忘れた窓も守れる点がシャッターとの違いです。
台風前に閉める運用を続けられる窓はシャッター・雨戸、操作に頼れない窓は合わせガラスと選び分けてください。
当社では、2枚のガラスの間に樹脂を挟んだ3層構造の安全合わせガラスを採用し、台風の飛来物への強さに加えて、侵入を遅らせる防犯効果も持たせています。
窓の防犯面の備えは、下記の記事にて解説しているので、併せて読んでみてください。
養生テープと飛散防止フィルムの効果
養生テープを貼っても窓の強さは変わらず、窓がどこまでの風に耐えるかはサッシとガラスの耐風圧性能で決まります。
台風前に窓へ貼る備えとして東京消防庁が挙げているのは、養生テープではなく飛散防止フィルムです(出典:台風・大雨に備えよう|東京消防庁)。
飛散防止フィルムは、割れたガラスが室内に散る被害を抑えられます。窓そのものの耐風圧性能は製品ごとに異なり、YKK APのエピソードⅡ NEO-Rには、風速62m/s相当の強風に耐えるJIS耐風圧性S-5の仕様があるので、検討してみましょう(出典:エピソードⅡ NEO-R|YKK AP株式会社/木造住宅用アルミ樹脂複合窓「エピソードNEO-R」発売|YKK AP株式会社)。
台風の直前に貼り物で補うことを前提にせず、窓を選ぶ段階で耐風圧性能を仕様書で比べると、同じ価格帯でも風への強さの差を把握できます。
台風に強い家の土地選びと浸水対策

台風による浸水に備えるには、土地の想定浸水深を調べ、床と主要な設備をその深さより高くしましょう。
水が床の高さを超えると、耐風等級や木造・鉄骨・RCといった構造に関係なく、室内へ入り込みます。被害の大きさを左右するのは、土地の低さと川や水路との位置関係です。
建物の仕様を比べる前に、候補地の浸水リスクを確認しておきましょう。
ハザードマップで確認する浸水の深さ
浸水の深さは、国土地理院のハザードマップポータルサイトで候補地ごとに調べられます。
耐風等級を上げても浸水リスクは変わらないことから、建物の仕様より先に想定浸水深を土地ごとに記録して比べましょう。
重ねるハザードマップでは、洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスクを地図に重ねて表示可能です(出典:ハザードマップポータルサイト|国土地理院)。市町村が作った詳しい地図は、同じサイトのわがまちハザードマップから開けます。
土地や建売住宅の売買では、2020年8月28日から、重要事項説明で水害ハザードマップ上の所在地を示すことが義務になりました(出典:不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化|国土交通省)。
ただし、説明を受けるのは契約の直前のため、複数の候補を比べる材料にはなりません。
想定浸水深に合わせた床の高さと設備の位置
1階の床は、ハザードマップで確認した想定浸水深より高くしてください。
想定浸水深は地面からの水の深さを示すので、図面上の地盤面から1階の床までの寸法と比べれば、床上浸水を避けられる高さかを判断できます。
床と同じく見落としやすいのが、設備の位置です。基礎を上げて床上浸水を避けても、屋外の地面に置いた給湯器や室外機が水につかると、水が引いたあとも湯や冷暖房が使えない状態が続きかねません。
分電盤・給湯器・エアコンの室外機は、想定浸水深より上に置けるかを配置図と立面図で設計者と確認しましょう。
台風に強い家にするための確認項目と点検
打ち合わせで確認するのは、耐風等級と評価書・基準風速・屋根ふき材の固定方法・窓の備え・床の高さと想定浸水深の5点です。
5点は、台風に強い家の4つの条件(耐風等級・屋根・窓・床の高さ)に、耐風等級の前提になる土地の基準風速を加えたものです。
5点すべてに書面か図面で答えられる会社なら、仕様が土地の条件にもとづいて決まっていると判断できます。
一方で、口頭の説明だけで契約すると、等級や固定方法が設計図書に反映されていなくても、引き渡し後に指摘する根拠が残りません。
建てたあとは、台風の前に窓・排水口・屋外の物を整え、設計で備えた性能を保ちましょう。
設計者とメーカーに確認する項目
設計者とメーカーには、耐風等級・基準風速・屋根の固定・窓・浸水の5項目を、口頭ではなく書面で答えてもらいましょう。
たとえば、耐風等級2相当のように言葉だけで伝えられた性能は、裏付けの書類がなければ、契約後に根拠を確認できません。聞く項目と確認する書類は、次のとおりです。
| 聞くこと | 目安の水準 | 確認する書類 |
|---|---|---|
| 耐風等級は何等級か | 耐風等級2(最高等級) | 設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書 |
| 設計に使った基準風速と地表面粗度区分 | 土地の所在地の値と一致している | 設計者が数値を示した書面 |
| 瓦屋根の固定方法 | ガイドライン工法で全数を緊結 | 屋根の施工仕様を示した書面 |
| 窓の飛来物対策と耐風圧性 | 耐風シャッターか安全合わせ複層ガラスを採用 | サッシ・ガラスメーカーの製品仕様 |
| 土地の想定浸水深 | 床の高さと設備の位置が想定浸水深を上回る | 市町村のハザードマップ・重要事項説明書 |
(出典:建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策|国土交通省/不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化|国土交通省)
なかでも会社の設計力が表れるのは、基準風速の行です。基準風速と地表面粗度区分を数値で示せない会社は、建物の仕様を土地の風の条件から決めていない可能性があります。
建てた後の点検と台風前の備え
台風の予報が出たら、前日までに窓の施錠と補強、排水口の掃除、屋外の物の片付けを済ませてください。
耐風等級を確保した家でも、飛ばされた物が窓を破ったり、排水口が詰まって水があふれたりすれば、構造の強さとは関係なく被害が広がります。
前日までに済ませる備えは、次の4つです。
- 窓と雨戸の施錠と、必要に応じた補強
- 窓ガラスへの飛散防止フィルムと、カーテン・ブラインドの閉鎖
- 側溝と排水口の掃除
- 飛ばされそうな物の固定か、家の中への格納
(出典:台風・大雨に備えよう|東京消防庁)
風が強まってから外に出ると転倒や飛来物に当たる危険があることから、屋外の片付けと排水口の掃除は明るいうちに終えておきましょう。
屋根と外壁は、台風シーズンに入る前に地上から見て、瓦やスレートのずれ・外壁のひび・雨どいの外れがないかを確認します。屋根の上での確認は、施工会社に依頼しましょう。
自分で屋根に上がると転落の危険があり、ずれた瓦を踏んで割れを広げることもあるためです。
台風に強い家の平屋・建売・風速に関する質問

平屋か建売かで台風への強さは決まらず、どの家でも耐風等級と屋根の固定、窓の備え、浸水リスクを確認します。
ここでは、検討中の方が迷いやすい平屋・建売住宅と、台風の時期・風速に関する質問に答えます。
平屋にすれば台風に強い家になる?
平屋だからといって、台風に強いとは限りません。階数にかかわらず、耐風等級と屋根ふき材の固定を確認してください。
耐風等級は柱・はり・主要な壁・基礎などの構造躯体を評価する等級(出典:地震などに対する強さ(構造の安定)|一般社団法人住宅性能評価・表示協会)で、平屋でも取得しているかは評価書で確認します。
屋根も同じで、2022年1月以降に新築する建物は、平屋も含めて瓦のガイドライン工法が義務です(出典:建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策|国土交通省)。
建売住宅でも耐風等級は確認できる?
建売住宅でも、建設住宅性能評価書の耐風等級の欄に等級が書かれていれば、その等級で確認できます。
ただし、耐風等級は評価を申請する人が選ぶ項目なので、評価書があっても耐風等級を評価していない物件があることも覚えておいてください。
建設住宅性能評価書は評価機関が完成した建物を現場で検査したうえで交付する書類なので、図面段階の計画値ではなく、実際に建った家の等級として扱えます。
評価書があるかどうかは契約前に販売会社へ確認し、重要事項説明書の記載と照らし合わせてください。
評価書がない家の耐風等級はあとから分かる?
評価書が手元にない家でも、住宅性能評価を受けていれば、施工会社に残る書類で耐風等級がわかります。
住宅性能評価は申請があった住宅だけが対象で、評価を受けていない家には耐風等級がありません。令和7年度に設計住宅性能評価書が交付された住宅は、新設住宅着工戸数の40.7%です(出典:設計住宅性能評価書を交付した住宅の割合は8年連続増加~令和5年度の住宅性能表示制度の実施状況について~|国土交通省)。
対して、評価を受けた家なら、施工会社に申請時の書類が残っている場合があります。建築した年と物件の住所を伝えて、評価書の有無を問い合わせましょう。
書類が見つからなくても、粘土瓦・金属板・化粧スレートの屋根は、国総研のマニュアル(案)に沿った耐風診断で、屋根ふき材が強風に耐えられるかを確認できます(出典:国総研資料第1309号|国土技術政策総合研究所)。
台風が多い時期はいつ?
台風の上陸が多いのは、8〜9月です。上陸数の平年値(1991〜2020年の平均)は年3.0個で、8月が0.9個、9月が1.0個を占めます。
2026年も9月に台風が相次ぎ、9月2日〜12日の台風第24号と前線による大雨・暴風では、種子島で最大瞬間風速32.0m/sを観測しました(出典:特定期間の全国観測値ランキング(2026年9月2日~2026年9月12日)|気象庁)。
ただし、7月や10月にも上陸があるので、屋根や窓の点検と排水口の掃除は、梅雨明け前の6月中に済ませておきましょう。
沖縄で家を建てる方や住む方は、上陸数ではなく接近数を目安にしてください。台風の中心が300km以内に入る年間の接近数は、沖縄地方が7.7個で、関東甲信地方の3.3個の2倍を超えます(出典:台風の平年値|気象庁)。
上陸は台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した場合を指すので、沖縄に来た台風は上陸数に入りません。
強い台風や非常に強い台風は風速何メートル?
強い台風は最大風速33m/s以上44m/s未満、非常に強い台風は44m/s以上54m/s未満で、54m/s以上は猛烈な台風と呼ばれます(出典:台風の大きさと強さ|気象庁)。
区分に使う最大風速は10分間の平均値で、建物には平均値より強い一瞬の風が当たります。
房総半島台風でも、千葉市では最大風速35.9m/sに対し、最大瞬間風速57.5m/sを観測しました。
2026年9月の台風第25号でも、三宅島の最大風速22.4m/sに対し、最大瞬間風速は38.0m/sでした(出典:特定期間の全国観測値ランキング(2026年9月19日~2026年9月22日)|気象庁)。屋根と窓は、瞬間風速を前提に備えてください。
台風に強い家のまとめ
台風に強い家かどうかは、構造の名前ではなく、耐風等級と屋根ふき材の固定、窓の備え、想定浸水深に合った床の高さの4点で判断します。
営業担当者の口頭の説明だけでは、風と雨のどちらの被害に、どこまで備えた家なのかが分かりません。耐風等級2は住宅性能評価書で、瓦の固定はガイドライン工法かどうかで確認できます。
想定浸水深はハザードマップで調べ、床の高さや設備の位置と照らし合わせましょう。4点すべてに書面や地図で答えがそろう会社と物件を選べば、台風の被害を建てた後の修繕費として抱える事態を避けられます。
アイム・ユニバースは、東京・千葉・埼玉・神奈川・沖縄で新築分譲住宅と注文住宅を手がけています。気になる物件があれば、耐風等級と窓の仕様を書面で示してもらえるか、物件ごとに確認してみてください。
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